愛と憎はかみひとえ。哀しき舞姫は踊らされたままでいられるのか?

一人の神と一人の人間、神と人、惹かれ合ってはいけなかったふたりの出会いによってはじまる物語。
出会わなければよかったのか、愛さなければよかったのか。
そんな迷いに生まれる人間らしさに、それを嘲笑う神もいて。
ある使命を受けて人の世に溶け込む主人公ナオクスヒメは何を想い、何を選び、何処へ向かうのか。

そして、そんな彼女の周りで渦巻く陰謀。
作者様のキャッチコピーにもある通り、世界の崩壊は始まっていたのか――? と、後半につれて回収されていく伏線にドキドキハラハラも募ってゆく。

一筋縄ではない神たちや多様なキャラにも魅せられて(個人的にオオマガツヒとナオクスヒメの神同士、人の世でのふたりにしかわからないような空気感が好きです!)、歴史に忠実である設定もうまく合わせられている。
雰囲気を崩さず大切にされた文体、当時の情景を思わせる描写によって彩られる世界観。

平安の世を知らずとも難しいことは考えずに大丈夫。文章が創り出す雰囲気によって、物語にしっかり引き込んでくれることでしょう。

神と人の愛憎に踊らされた彼女のゆく末、その結末をぜひ見届けてあげてください。

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