神と人、異類の悲哀はどこへ向かうか

日本神話と平安時代、未だ神と人とが近かった時代の物語である。
ある役割を追った女神を中心に据え、彼女に役割を命じた神、彼女のことを面白がって見ている神、そして彼女に願った人間惹かれた人間、そして更にそれを取り巻く人々、と、様々な登場人物によって物語は彩られていく。
そして物語の雰囲気を一切壊さぬ文体と、きっちりと描かれた時代背景の描写。このあたりについてはさすがという他ない。
中心にいる神は確かに神であるが、人間くささもある。これぞまさに日本神話の神と言えるのかもしれない。
どこか苦しみや悲しみも背負い、うまくいかぬことも多い異類の恋。それも含め物語はどこへ進んでいくのか。
ぜひご一読ください。

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