概要
悲願はやがて実を結び、花と成る。見習い鬼使いが導く、一夜限りの魂牽記
此岸と彼岸の境に存在する忘川河(ぼうせんが)。
霊魂が渡ると今世の記憶を忘れてしまうという忘却の河川のほとりで、彼岸花園を管理する見習い鬼使いがいた。
彼はいわゆる落ちこぼれであった。同じ時期に就任した同朋は、すでに多くが高位に進んでいる。
仕事に勤しむ同朋を遠くから眺め、彼岸花の絨毯で惰眠を貪る日々。
そんな彼はある日、とある迷魂の未練晴らしの依頼を任せられる。
しかしその依頼は、今までにない困難なものだった。
冥土の淵をさまよい続けた鬼使いは、現世へ降り立ち、他人の心に触れる。世界に触れる。
これは、未練に囚われたさまよえる魂の救済の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しい文体と中華風の死生観、最後には驚きの展開も!読み応え抜群の物語☆
読むうちにすぐ「あれ? 忘川河って、三途の川のこと?」と、ピンとくると思います。
そんなわけで、忘川河とは中国の神話に登場する川で、日本で言うところの三途の川に近いものです。
どちらも亡くなったあとに渡る川と言われています。
すこし違うのは、三途の川は『向こう岸で亡くなった家族が手をふってる』という印象が強いですが、忘川河は名前のとおり『渡ると今生の記憶を忘れてしまう』というイメージが強いことでしょうか。
本作ではこの忘川河の性質ゆえに、今世の記憶を忘れがたく思い悩むキャラクターが登場します。
なかなか珍しい設定なので、目新しくも面白く感じられること間違いなしです!
それに加えて、文章も…続きを読む