漆
けれども、花を植えることには慣れていたので、さほど時間はかからなかった。
てきぱきと
すると、まるで時間を早送りしているかのように、すぐに芽が出て花が咲いた。
真っ赤な、真っ赤な
どこか超然としたようすで花園を眺めていると、ふと煙のにおいがしてふり返った。
「
「初仕事は無事に終えられたかい?」
そこには
相変わらずこの女は気配を感じさせない、と密かに思う。
「
「いつから気づいていたのですか」
「あんたは勝手に決めつけていたんだ」
一言からかってから、またいつものようにいたずらな笑みを浮かべる。
「……やはり、あの依頼書は、あなたが」
正直、一発
しかし、彼女の言葉がやけにしみじみとしていたので、その
「あたしがまだ現役だったときに、あんたを助けられなかったからねえ。あれからあんた、ずっとひとりで待ち続けていて……気がかりだったんだ」
勝手なことを、と思うが口には出さない。
たしかに、待つことを選んだせいで苦しい思いをしてきたこともあったが、それは自分のためなのだから仕方がなかった。
「ところで、今後はどうする? あたしの力で、あんたを昇格させてやってもいいんだよ」
今度の笑みは単なるいたずらではなく、
けれども、己の決意が
「私は、あのひとをこの場所で待つと、決めたのですから。それまでは、この
おやおや、と范はまた
あんたらしいね、と残してくるりと背を向けられる。
何か他に言われるものだと思っていたが、ただそれだけだった。
煙をくゆらせ手をひらひらとさせながら、その姿は冥土の闇へ消えてゆく。
そこら一体に赤い花の
悲願は実り、花と化す。
死者の国に生え出るこの花は、単なる彼岸花などではない。
忘川河の守り人 白玖黎 @Baijiuli1212
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