概要
十年も続いた夏が、ようやく終わろうとしていた。
「なにからなにまで喋った。でも一つだけ喋れんかった」
「好きって言葉だけ言えんかった」
――十年前の夏を、彼はずっと忘れられない。
八月中旬、岐阜県の地元で行われた同窓会に渋々ながらも来た和(かのう)。小学校来の親友に振り回され、祭りやら川やらに連れていかれる。しかし「翠のこと、まだ引きずっとるん」という言葉で親友と喧嘩をしてしまう。
――終わらなかった夏の終わりを見届けた。
「好きって言葉だけ言えんかった」
――十年前の夏を、彼はずっと忘れられない。
八月中旬、岐阜県の地元で行われた同窓会に渋々ながらも来た和(かのう)。小学校来の親友に振り回され、祭りやら川やらに連れていかれる。しかし「翠のこと、まだ引きずっとるん」という言葉で親友と喧嘩をしてしまう。
――終わらなかった夏の終わりを見届けた。