やっと雨が上がって空に架かった虹は果てしない未来につながる

現代ファンタジー。
夏特有の物悲しさと清々しさを感じる。
方言が出ると、作品の世界観に良い味が出る。

郡上おどりのことが書かれている。 
クライマックスの徹夜おどりは、八月十三、十四、十五、十六日の四日間。
本作は、十二日に同窓会をして、次の日の夜に踊りに行き、川で少女を助けて翠の幽霊に会ったのは十六日かしらん。

小学校時の、七五三翠のことが思い出される場面が上手い。

大事な人をなくすと、感覚として時間は止まる。
十年経つと、ようやく、止まっていた時間が一日くらい進む感覚を覚える。
変わらないものの中に変わっていくものを見つけて、いまを実感して次の季節の予感に気づけるところがよく書けている。
終わり方が実に良い。