第14話 おしかつ

 どうすんだよ。盗賊四人と戦闘だよ。

 こっちは三人だが、アタッカーと呼べるのは一人、推しなんだよ。鶏は他に特技があるっぽいが興味ないんだよ。


「そうだ! 特技だよ! 私ダメージ与えられないけど、何か回復系とかないかなっ」


 でも、まずはエンウーだ。あー、失敗したなー、順番を間違えた、何でエンウーを先頭にしたんだろう。


 左側のウィンドウ、コマンド選択。


 エンウー


 ぼうぎょ


『エンウーは みをまもっている』


「これでよしっと。私の番だね」


 コマンド選択。


 ココ


 とくぎ おしかつ


「……んー?」


 とくぎ おしかつ


「……あははっ、2Dフィールドのせいで目が疲れちゃったんだなー」


 目を閉じて、少ししたら開ける。瞬きを数回繰り返して、再確認。


 ココ


 とくぎ おしかつ:おしをおうえんする


「……エンウーや」


「コケッ?」


「何だ、この特技は」


「ココさんにぴったりの特技を用意したコケー!」


 エンウーはウインクをした。


「いや、ウインクバチコーン! じゃないわ! 絶対これっ、役に立たない特技じゃん!」


「そんな事ないコケー、やってみればわかるコケー」


「本当かなー……?」


 コマンド選択。


 ココ


 とくぎ おしかつ


『ココは おしをおうえんした!』


「頑張ってー! テイオスさーん!」


 口が勝手に動いた。


「おぉっ!? 何か力がみなぎってきたな、ありがとよっ、ココちゃん!」


『テイオスの こうげきのちからがあがった!』


「……エンウー」


「コケ?」


「グッジョブ!」


 ウインクバチコーン返し。


「コケー!」


 また返ってくる鶏ウインク。


「さて、テイオスさんの番だ。できるだけたくさん倒してもらおう」


 コマンド選択。


 テイオス 


 とくぎ ばくれつけん:敵ぜんたいにランダムで5回こうげきする


「爆裂拳は知ってるぞー。RPGだけじゃなく格ゲーでも見たことある。これはいける!」


 テイオス


 とくぎ ばくれつけん


「爆裂拳だな! あいよ!」


 推しは前に移動した。


「……」


 この、コマンド選択したら、話しかけてくれるの最高だが、その度に胸がぎゅん&きゅんするから危険だ。


「橋を、通してもらうぜ!」


『テイオスの ばくれつけん!』


『盗賊Aに 32のダメージ!


 盗賊Bに 34のダメージ!


 盗賊Aに 41のダメージ!


 盗賊Aを たおした!


 盗賊Bに 33のダメージ!


 盗賊Bを たおした!


 かいしんの いちげき!


 盗賊Cに 138のダメージ!


 盗賊Cを たおした!』


「……強すぎじゃろ」


 推しはジャブを連打した。……目にも止まらぬ速さってこの事だ。だがしかぁし! 推しeyeを舐めてもらっちゃ困る。


 推しは、最初は肩を入れずに打つ見せパンチを出し、次に、がっつり肩を入れた伸びるパンチを出したのだ! そう、最初は目隠しなのだ! しかも、縦拳たてけんだから脇が開かずバレにくい!


 さすが、伝説の武闘家……。


 けど、感動している暇はない。そう、一人残ってしまった!


「すまねぇ、ココちゃん。一人残っちまった」


 推しが申し訳なさそうに振り向いた。


「何を言いますか! めちゃめちゃ萌え……、燃える強さでしたよ! かっこよかったです!」


「そうか? ありがとよ」


 そんなこんなしている間、敵は待ってくれるはずもなく。


『盗賊Dの こうげき!


 かいしんの いちげき!


 ココは 9のダメージをうけた!』


「……めっさ痛いんですけどー」


 酔っ払い盗賊のへべれけパンチのくせに、会心の一撃だし。それにちょっと待てよー。


 足し算と引き算のお時間です。


 私のHP、最初5ありました。レベル上がり、5増えました。今、盗賊さんに殴られ、9減りました。つまりー、残りは。


 確認。


 ココ


 H 1


「……何回、詰めばいいんだよぉー!」


−−−−−−


 あとがき。


 おしかつ、大事です(笑)


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