第28話 尊み禿吉

「……はっ!」


 目を覚ますと、カリール城下町の宿屋のベッドの上だった。


「お? ココちゃん気がついたかっ」


 推しが椅子に腰掛け、私を見ると笑顔を向けた。


「え? あれ? 私どうやってここに……」


「どうって、こうやってだな」


 推しは、両手を自分の体の外側に広げると、腕を曲げた。


「おっ、おっ、おぉ姫様抱っこぉー!?」


他所よその町じゃそういうのか。確かに姫さん抱いてる気分だったなー」


「え!? テ、テイオスさん! 腕は大丈夫ですか!? 折れていませんか!?」


「何言ってんだ、ココちゃんなんか軽い軽い。現役時代なんか、ココちゃんの倍はあるバーベルでトレーニングしてたぜ?」


「…………」


 倍……。私×2……。……デス


「テイオスさん! 死んじゃダメですー!」


「死ぬって、はははっ! ココちゃんは大袈裟だなぁ! 大丈夫だって! 現役の時みたくとは言わねぇけど、まだまだそんじょそこらの若ぇのには負けねぇから!」


 ふんっ! と、わざとらしくマッスルポーズをした推し。カワユス。


「はっ! でもっ、そういえば! 今って何時でしょうか! 今からでも洞窟へ行けますでしょうか!?」


「今は、14時だな。大丈夫、これから行けば夕方にはに着くだろ」


 向こう。つまり、次のエリアにとうとう行くのだ。だーかーらーこーそ。


「向こうに行くのに、又しても武器や防具を買い忘れちゃいましたっ。どうしましょうっ、どれも、攻撃力皆無っぽい物ばかりでしたが、推しブラシでも買ってきましょうか!?」


「いや、大丈夫だろ」


「え、どうしてですか?」


「ココちゃんは俺が守るから」


「——……」


 ココちゃんは俺が守るからぁ、守るからぁ、らぁ、らぁ、らぁ……(脳内エコー)


「……尊み禿吉はげよし


「ん? 何か言ったか? ココちゃん」


「いいえ、何も」


 “尊み禿吉”、『尊み秀吉』という言葉を、たった今、私がレベル上げた言葉です。なんて、言えるわけない。



−−−−−−


 あとがき。


 実は、これもこっそり賢コン(賢いヒロイン中編コンテスト)に参加していました。


 もう文字数ヤバいので、結果が出るまで、また更新ストップするかもしれません。


 なので、今の内にドラ◯エやって、世界観を深めておこうと思います。え? サボりじゃないですよ? “現場取材”です(笑)


 そして、賢コン終わったら、このあとがきを変更するかもしれないので悪しからず(ペコリ)

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