第10話 戦力外



ロゼと言う名の勇者の霊を手に入れた俺はこの世界で無双する。


なんて事を考えていたんだがな。


無理だな。


『えっ?!ジョブもスキルも無いの? それじゃ無理』


意味が無かった。


ロゼは勇者だったが、その戦い方は、その2つに依存している。


『技もなにも、ジョブやスキルがね、全部教えてくれるの! 少し鍛えれば、ジョブやスキルの影響で強くなれるわ! 例えば農夫のジョブを持てば、誰でも鍬を自由自在に使えるのよ!剣士のジョブを持った8歳位の子に、ジョブ無しの大人は勝てないの』


これじゃ意味が無いな。


これなら、ジョブやスキルの無い世界で生きてきた守護霊からの方が学ぶ事が多い。


『それじゃ勇者の技を教わる事は難しいな』


『そうね!貴方が勇者なら伝えられる事もあるけど、無能じゃ無理よ』


確かに。


だが、勇者だと言うならその技を見せて貰う事位は出来るんじゃないかな。


『それも無理ね!死んだらジョブも無くなるもの! 型位は出来るけどどう?』


カッコよく色々としてくれているが、俺にはコスプレしている少女が適当に剣を振っている様にしか見えない。


『お主でも倒せる位じゃな』


卜伝が割り込んできた。


基本的に霊話は疲れるから2人相手に話すことは無い。


それが解っているから霊が割り込んでくる時はこうして一言だけ話す事が多い。


確かに、隙だらけで俺でも打ち込めそうだ。


『どう、これが勇者のみが使える奥義光の翼なのよ! 本当なら輝く大きな鳥が飛び出して相手に飛んでいくの、追尾していくから躱す事は出来ないわ』


『そうか? だけどその肝心の鳥が出ていかないじゃないか?』


『それはジョブもスキルも無いから…出ないのよ!』


『この世界はジョブとスキルに頼りなんだな』


『当たり前じゃない! 基本的に余程の変わり者じゃなければ、ジョブの職業に就くわ、そしてスキルやジョブに頼って腕を磨くのよ! そうすれば間違いなく、その道のエキスパートになれるの。最も同じジョブなら努力の差は出るかも知れないけど無能に負けるジョブ持ちは居ないわ』


ジョブとスキルが無い人間にはキツイ世界だ。


『勇者のスキルってどの位凄かったんだ?』


『そうね6歳で騎士や剣士のジョブ持ちを圧勝出来る位凄いわよ!』


努力しないでそれか。


もしかしたら、俺のクラスメイトの中にも勇者のジョブ持ちが居るのだろうな。


そして俺とは違い、きっと凄い力が使えるのだろうな。


仕方が無い。


俺には『教えてくれえる守護霊や守護神』が居る。


この世界でもどうにか生きていける。


それはきっと恵まれている。


そう思う方が良いな。


だが、


『どうですか? これでも私は勇者でした! ジョブやスキルは無くても、何か学べる物もあると思いますよ』


『そうだな』


勇者の霊でこれだ。


神は人間側は一神教だし、眷属も居なさそうだ。


この世界の守護霊を得ても戦力という意味では意味が無いかも知れない。


『そうですよ!これでも勇者ですから!』


この世界の常識や知識位は教えて貰えそうだな。

『そうだな! これから色々教えてくれ!』


『お任せを』


勇者って位だから、魔物や魔族には詳しいだろう。


その辺りについて後で聞いてみるか?






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