第2話 理由
俺がジョブを貰えなかった。
その理由は何となく解かる。
恐らく、その理由は俺が霊能力者だからだ。
俺には小さい頃から不思議な力があった。
その不思議な力は所謂、霊能力という物だ。
簡単に言うなら『霊』と話し交流が出来る。
テレビにも取り上げられて一部の人にとっては有名人になった事もある。
最も、まだ未成年だからかモザイクを掛けられ放送されてプライバシーは守られていた。
だから、クラスメイトどころか教師も知らない。
『霊に苦しむ人間』や困った人間、同じ霊能者などにだけ名前が知られている。
それだけだ。
知り合いのお寺の住職や、同じく知り合いの霊能者、後は過去に助けてあげた人からの紹介で相談を持ち掛けられ『解決してあげただけ』俺としてはただ、それだけの事だな。
別に、俺はその能力をひけらかしたりはしていない。
寧ろ亡くなった両親は、霊能力を嫌っていたから余り使わないように心がけていた。
恐らくこの能力が俺にジョブを与える事を拒んだに違いない。
何故なら、俺には既に幾つもの『神』や『仏』が憑いている。
例えば金剛薩埵(こんごうさった)や不動明王は俺の守護神だ。
人にはどんな人間でも必ず守護霊がついている。
俺は霊と話す事が出来るから『拾って』味方につけた。
最も味方につけても『本物か解らない』し『本物であっても眷属で能力の低い者も多い』
実際に神や仏で本物であっても『当人』かも知れないし『髪1本の能力も持たない眷属』の可能性もある。
そのどちらかまでは解らない。
事実、俺が手に入れた守護神の一人不動明王は、事故にあって死に掛けの猫に憑いていて、猫が死んで行き場に困っていた。
不動明王本体が憑いていればこの猫は事故で死ぬことは無かっただろう。
そう考えれば眷属、それもかなり神力の弱い存在と考えた方が良い。
勿論『拾った』
能力は低いとはいえ既に俺は『神』や『仏』が憑いているのだから、女神の与えるジョブが貰えなかった。
恐らくはそういう事だろう。
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