第3話 冒険者ギルド




トボトボと街を目指して歩いている。


俺は何処にでもいる、普通の高校生だ。


俺が他の人間と違うのは『霊能力者』だというだけだ。


霊能力で食べていく。


それは前の世界では難しくない。


占いをしても良いし、簡単な除霊をしても良い。


だが、それは異世界で果たして通用するのだろうか?


この辺りは『冒険者ギルド』で相談しなくちゃな。


日本に居た時のように霊能者としての仕事があれば良いが、期待は出来そうにない。


そう考えたら、霊能者として暮らせるまでは冒険者になるしかないのかも知れない。


半日程歩くと街に着いた。


「始まりの街、ビギンにようこそ!身分証明出来る物はありますか?」


門番が立っていて身分証明を要求してきた。


俺はあらかじめ王から貰っていた身分証明書を出した。


「はい、結構です、どうぞお通り下さい」


「ありがとうございます」


俺はお礼を言って街に入っていく。


さてこれからどうしようか?


◆◆◆


探す事1時間、ようやく目的の冒険者ギルドを見つけた。


この世界のスタートは無能の俺にはどうしても此処になる。


「冒険者ギルドへようこそ! 本日は依頼ですか?」


「いや登録をお願いしたいのですが…」


「その歳からですか? 今迄一体何をしていたのですか? 何か経験はありますか?」


俺は自分が転移者である事を伝えた。


「はぁ…それでですか? ですが普通は異世界人は貴重なジョブ持ちだから王宮に所属するはずですが可笑しいですね」


俺は貰った身分証明を渡した。


「そう言う事ですか? 困りましたねジョブ無し、無能ですか? 登録は構いませんが無能だと仕事がありませんよ!まぁ登録して身分証替わりにした方が良いでしょうね、紙の身分証明じゃ心もとないですから」


「仕事が無い?」


「正確には冒険者らしい仕事が無い、ですかね? 薬草の採取とかどぶ掃除くらいならありますが本来は子供冒険者の仕事です!」


「仕方ないから、それで良いです…登録お願いします」


「ハァ~解りました」


嫌な顔しなくても良いのにな。


凄く嫌な顔をされながら登録している。


しかし、こんな奴の守護霊はどんな奴が憑いているんだ。


《霊視》


見た感じ、真面目そうな男性が憑いている。


《ねぇこの子は何時もこんな調子なの?》


《この通りキツイ性格で困っているんですよ、幾ら諭そうと努力しても無駄でして》


《それじゃ偶々イライラしていた訳じゃないんだ》


《はい、結構性格にも問題があるんですよ! 根は真面目なんですけどね》


《そう解った》


正直少し腹が立ったが真面目な人間だそうだから別に気にするのは止めよう。


「ほら出来ましたよ! 一番下のFランクです。本来は頑張ってランクを上げて下さいね!と励ますのですが、無理ですね無能ですから! 多分討伐は出来ない筈ですが、もしやりたいなら、別途試験を受けて下さい!ジョブ持ちには本来は必要ないですが、無能には必要ですので、では…」


なんだか随分雑な扱いだな。


何か依頼を受けるにしても、相談するにももう遅い時間だ。


明日、また来るか。


宿の場所を聞き、俺は冒険者ギルドを後にした。







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