第17話 関わらない



また、6人同級生が死んだ。


可哀そうに。


死んだのが、丸井さん、三浦さん、湯浅さん、小松さん、三上さん、堀さんの6人。


全員が女性だ。


あっさりと死んでしまった。


これで亡くなった人数は10名。


残りは18名。


こんな簡単に死んでしまう物なのか?


「随分、浮かない顔をしているのね!」


「いや、俺と一緒に日本、いや異世界から来た人間が死んだんだ」


「そう?気にしても仕方が無いわ」


随分と冷たい気がする。


かかわりがあるかどうか?


そう言ってしまえば、只のクラスメイト、この中に『ナオ』の名前の元になった俺の初恋の子がいる。


その位だ。


別に付き合ったわけでもない。


それ処か告白すらしていない。


霊能者とは不便な物で『相手の本性』も霊をとうして知る事が出来る。


優しくて綺麗な彼女の裏の面、それを知ってしまい。


彼女はただの『観賞用』の女の子となった。


確かに実行はしていないが、裏で陰口、暴言を吐いている。


その話を聞いてしまえば、流石にな…


しかも、野球部のキャプテンを始め、何人もの男性とそういう経験迄ある。


『知る』という事は辛い面も結構ある。


「案外ドライなんだな!」


「そうね! 今の私にはアンタ以外の人間はどうでも良いわ!両親だって私を捨てたんだから他人みたいな者だし、家族も同じだわ!」


幾ら捨てられた様な者でも…違うな!強がりなだけだ。


「確かにそうなのかも知れないが、なかなか割り切れなくてな」


「アンタ馬鹿なの?!此処はアンタの居た平和な世界とは違うわ! ちょっとした事で簡単に人が死ぬ世界なの! 街から出れば魔物が普通に居るし、異世界人は『最優先で殺される』から死んで当たり前だわ」


『ロゼ?』


『そりゃ当たり前だよ! 魔族にとって脅威だもの!女でも苗床にしないで首チョンパ、そんな感じ?』


「確かにそうかもな?」


「そうよ! 所でアンタなんで私の後ろを見てぶつくさ言っている訳!」


「いや何でもない、確かにそうだな」


「そうよ!」


前の4人と違い6人のうち3人はこの街に来ていた。


勿論、亡くなって霊になってだ。


俺を見て懐かしそうにしていたが、俺は敢えて無視した。


恋人でも親友でも無い。


『クラスメイト』それだけの関係だ。


声を掛けて仲良くするのは難しくない。


だが、何かしてあげる事は難しい。


此処は日本でない。


この世界の亡くなった後のルールは全く解らない。


きっと此処の女神がどうにかするだろう。


呼んだんだからな。


平和な日本に比べれば、余りにも、危険で危ない世界。


ここでスキルもジョブも持たない俺に出来ることは『街から出ない』で生きていく事だ。


幸いにも俺には生きる術がある。


「アンタ、これからギルドで人生相談するんでしょう?」


「まぁな」


「しかし凄いわね、ちょっと話をするだけでお金になるなんて」


「まぁな」


あれから料金を少し変えた。


初めての相談と2回目の相談は銅貨3枚(3000円)だが3回目以降商売の話は金貨3枚(約30万円)取ることにした。


2回も当たればもう充分な程に信頼がある。


あとは大きな話なのだから『幾らでも払う』だろう。


最も、今のは『商売』の話だけ。


一般の相談は上限で銀貨1枚だ。


こんな金額でも毎日お客は絶えない。


盗賊の密告はしない事にした。


恨みを買って殺されたら悲惨だ。


「しかし、アンタの助言は本当に当たるわね!どうしてかしら?」


「それは秘密だ」


「そう?私にも言えないんだ」


「いっても理解できないからな」


「なら良いわ」


結局、俺は街から出ないで生活をすることにした。


確かに不思議な力を持っているが、敢えて危険な事をするつもりは無い。


たった1度の冒険でもう良い。


口は悪いが仲間も一人いるし…後は、戦いには関わらず生きていく。


それだけだ。



FIN[




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る