第13話NTR
♠桜花の部屋(真夏視点)
「ここが、さくらっちの部屋か〜。整然としすぎ♪」
机と、ベッド、姿見と本棚くらいしかない。本は、色々と充実しているが。
「殺風景ですか?」
「ホテルみたい?」
「昔、ひどい喘息を患っていだからかもしれません。埃とかがダメで。ぬいぐるみとかも置けなかったんですよ」
「もう大丈夫?」
「ええ。小学校高学年くらいから大丈夫になりました。体質が変わったとかで」
「良かった。 で!」
「で?」
「見られたくないブツの数々は、どこに隠してるのかな〜?」
完璧超人たる表のさくらっち。私のセンサーは、その奥底に隠している本性があると告げている。
「え? えーと〜」
目が盛大に泳いでいる。
「目が泳いでるよ? 可愛い過ぎる♪」
ネグリジェ姿のさくらっちをぎゅっと抱きしめる。
ま。本性と言っても、
「中年のオジサマですか!? 探そうとしたら、帰ってもらいますわよ?」
キッと、私を睨むさくらっち。
本気だ。
(探したら怒るってことは、“ある”ってこと)
この部屋には、どんなヤバいブツが隠されているのだろうか? ホラー好きの私は、その深淵をとても覗いてみたい。
だが、今はその段階ではなかろう。もっと仲良くなってからではなくては。
「この時間に? ごめん、ごめん。今日は、探さないからさ〜」
今、夜中の1時。電車もバスもない。
「はい?」
「恋バナしよっ♪」
「わたくし、面白い話しなんかできませんよ?」
「絶対、嘘。料理作ってるときにチラッと聞いたけど……お兄さんを追いかけて静岡から東京の学校まで来たというだけで、十分面白いから〜♪言っとくけど、並大抵の話しじゃドン引きしないよ?ボク。 ボクの恋バナもするからさ〜。とりあえず、同じベッドで一緒に寝よ? 今日は、寝かさないけど」
「真夏さんの恋バナって、単なるのろけでは?」
ベッドへ先に横になるさくらっち。ベッドの端っこによって、トントンと横のスペースに私を招く。みんな大好き“恋バナ”になんだかんださくらっちも、前向きのようだ。
「言うねぇ♪」
とりあえず、さくらっちの柔肌を抱きしめて頬ずりする。
「ひゃあ」
「うわっ、お肌がつるつるスベスベ過ぎる。それにむっちゃいい匂いする」
さくらっちの触り心地と匂いを十分に堪能する私。
「同性でも、セクハラ反対ですわ!」
「寝盗るって、言ったじゃーん♪ うりゃうりゃ」
「きゃっ。あはは……」
「なにこれ、大きい! 良いではないかぁ♪ 良いではないかぁ♪」
「ひゃあ! そこは……。ダメっ……やっぱり帰って下さい、悪代官様!」
健全に(?)じゃれあいながら、恋バナもきっちりした。
♠
あ、さくらっちが“可愛い”でしかないは、訂正ね。さくらっちが可愛いのは確かだが……並大抵のことでは引かない私が話しを聞いて内心ドン引きしたことは、内緒。
(きっちり、堀りを埋めてから来たな)
【大阪夏の陣】だ。あれは、邪魔な外堀も内堀も埋めてから再侵攻したのだったか?
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