第11話桃矢改造計画3

 食卓には、バンバンジーとかカプレーゼなどの中華やイタリアンが混ざったような色鮮やかなパーティ料理が並んでいる。


 中華スープやチャーハン(カニカマ甘酢餡掛けチャーハン)があるあたり、中華よりかな? クラゲの酢の物とかもある。 


 飲み物は、自家製のレモネード。


「わぁ、豪華だね」

 勇太が感嘆した。


「桜っちに、いっぱい教えてもらったよ♪」


 料理教室も、本日のお泊り会の趣旨の一つだったのだ。


「運動したあとの疲労回復に良いと思って、酢を使った料理が多いです。お口にあうと嬉しいのですが……」 


「とても美味しそうだよ」

 勇太が真夏と桜花を称賛した。


「うん。運動したあとでも美味しく食べれそう。桜花、真夏、ありがとう。じゃあ食べよう」


「「「「いただきます!」」」」


「で、桃っちはどうだった?」

 ご飯を食べながら、勇太に聞く真夏。


「うん。筋肉の質はいいよ」


「筋肉の質は?」

 きょとんと聞き返す桜花。


「運動の方は、ダメだったってこと?」

 真夏が追い打ちをかける。


「まぁ、大分なまってるんじゃないかな? 筋肉の質がいいってことは、幼少期は活発に動き回ってたんじゃないかと思うんだけどね。今の桃矢からは、ちょっと想像がつかないんだけど」


「わかります?」

 桜花は何故か、嬉しそう。


「桃っちのポリシーは、“だらけきった正義”だもんねぇ♪」

 真夏がまぜかえす。


「何で、幼少期は活発だったって思うんだ?」

 俺は、素朴な疑問を抱いた。


「筋肉の質は遺伝だけじゃなく、幼少期の運動の質と量によっても決まるからさ。ゴールデンタイムってやつだ」


「なるほど」

 聞いたことがあるような、無いような。


「あと。君って、結構根性あるな。限界近くまで走らせたんだけど、根を上げなかったし。そこは、見直したよ」


「わたくしのお兄様ですから」

 桜花が誇らしげに言った。


「その辺の話は、寝る時にでも聞こうかな?」


「えー勇君、桃っちと寝るの?」 

 真夏が残念そうに言う。 


「カップルを一緒に寝かせられるか!」

 俺がツッコむ。 


 親のマンションだぞ。ここ。不純異性交遊はダメだ。


「「ちぇー」」


 何故か、真夏と桜花の声が揃う。


 そういや、さっき。桜花が添い寝がどうとか、子守唄がどうとか、言ってたな。俺と一緒に寝るつもりだった?

 ……まさか、ね。


「仕方がないから、一緒に寝ましょう。真夏さん」 


「桜っちを寝とっちゃうからね♪」


 俺の方を見ながら桜花の肩を横から抱く真夏。まんざらでもなさそうな表情の桜花。


「寝盗るな!」


 というか、仲いいな。こいつら。


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