第10話桃矢改造計画2

 我が家へ勇太と一緒に帰宅する。正確には、親のマンションだが。


「ただいま」


「おじゃまします」  


「おかえりなさい。ご飯にします? お風呂にします? それとも……わ.た.し!?」


「お風呂。ていうか、君の家じゃないから!」

 エプロン姿で出迎えてくれた真夏にツッコむ俺。


「そうです! それ、わたくしのセリフです!」

 頬を膨らませて抗議するエプロン姿の桜花。


(桜花よ。お前のセリフでもないよ。“わ.た.し”なんて選択肢はないから)


 まあ、定番のギャグだし。言いたくなるのも、わからんではないが。


 勇太と一緒に風呂に入った。野郎と一緒に風呂に入っても、嬉しくもなんともない。


「いいお湯だった。風呂も広いね」


「親が夫婦で一緒に入るからな。湯船も特注品だよ」


「へぇ。ご両親、仲いいんだぁ♪」

 真夏がまぜかえした。


「ええ。わたくし達が呆れるほど」


「君達は、一緒に入らないの?♪」 

 俺と桜花を見てニヤニヤしながら言う真夏。


「入るか!」

 小さい時は、一緒に入ってたかもだが。いや、入っていたな。小学校低学年くらいまで。


「今度、お背中でもお流ししましょうか?」


「桜花も、のらなくていいから」


 桜花の場合、本当にやりそうで怖いんだけど……。


「じゃあ、トレーニングを頑張ってこられたであろうお兄様のマッサージと添い寝してよしよししながら子守唄も歌って差し上げるサービスはいかがです?」


「添い寝と子守唄は、いらん!」


「マッサージは、してほしいんだ」

 勇太ものってきた。


「それは、まぁ。うん。……冗談はそれくらいにして、食事にしようぜ」  


 こいつらのノリ、なんか疲れた!

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