第24話夕食は、妹メイドお手製オムライスです

 学校の生徒会長と副会長がメイド喫茶でバイトをしていたのに遭遇した。 


 いろいろあって、昼食を奢ってもらったのだが……予定が狂ってしまった。

 このメイド喫茶、晩ごはんを食べる予定だったのだ。


 それと……DQNというか半グレの3人組を兄妹でのしてしまった為に報復が怖くて秋葉原をうろつくのが怖くなってしまった。


 その説明を生徒会長の紅葉先輩にすると……


「うちのSPに変装グッズを持ってこさせよう。ついでにSPと私達とで秋葉原を案内してやるよ。ご希望は、兄妹物のエロゲでよかったかな? それとも、兄妹物のラノベや同人誌だったか?」



「はぁ?」


 素っ頓狂な疑問の声をあげる俺。


 なんで、兄妹で兄妹物のエロゲや同人誌を秋葉原まで買いに来なくてはならんのだ?アブノーマルにもほどがある。いや、兄妹物のラノベなら桜花に押し付けられて読む機会が多い気もするが……。




「そういう物は、間に合ってます! ほしいのは、メイドカチューシャとメイドエプロンですわ!」


 別の物を所望する妹。


 いや……「そんな物、買うわけないじゃないですか!」じゃなくて、「そういう物は、間に合ってます!」って、妹が使う日本語としておかしくね?


 ラノベ(主に現代ファンタジー)を、趣味で書いている俺。日本語には、敏感なのだ。



「コスチュームプレイ」

 

 ボソッと呟いたのは、雪先輩。


 コスプレと略さないのが、なんか生々しくて嫌。


「なるほど。そういう兄妹プレイがご所望か」


 紅葉先輩が納得したように頷く。 


 兄妹プレイ、言うな!


「お兄様は、メイド萌えなのです。今日の晩ごはんはメイドさんお手製のオムライスを予定していたのですが、予定が狂ってしまったので仕方なくわたくしがご給仕するのです」


 学校の生徒会長と副会長にメイド萌えとかの暴露、いる?


 その後、文学少年少女の格好から一条家のSPさんの格好に着替えてみんなで秋葉原を巡ることになった。回ったなかには縁結びで有名な神社とかもあった。



 SPさんに駅に預けていた荷物をとりに行ってもらって、ついでにSPさんの車で自宅まで送ってもらった。


(SPさんがいるとか……一条家って、すげぇ)


 夕飯は宣言通り、メイド姿の桜花お手製のオムライスとサラダとコンソメスープだった。



 桜花のメイド服姿は、メイド喫茶のシックな感じの奴ではない。〝童貞を殺す服〟にメイドエプロンとメイドカチューシャをつけたカスタムメイドって感じの奴だ。


 そして、桜花の髪型は、ロングツインテール。


「おっ……美味…しく……なーれ。萌え…萌え

……キュン?」


 耳まで真っ赤にしながらたどたどしく〝オムライスが美味しくなる呪文〟を唱える桜花。


 オムライスには、俺が所望したかわいい犬の絵が描かれている。


(ぐっ…可愛いい!)


 妹萌えの属性は無いと自負する俺。


 しかし、〝童貞を殺す服〟をベースにしたカスタムメイド服にロングツインテールに絶対領域をちら見せする白タイツは反則だと思う。

 他の人がこの格好をしても、気にならない。普段、おすまししてる妹がやるからこそ気になるのである。ギャップ萌ってやつ?



「恥ずかしがりすぎだし」


 妹に対して(ぐっ…可愛いい!)などと思ってしまった照れ隠しに、ぶっきらぼうに言う俺。


 なんで、妹にクリティカルヒットをくらっているのか分からない。



「むぅ……。とても恥ずかしいですが、お兄様の反応は悪くないので、たまにこの路線でお給仕しますねっ」


 桜花は、照れながらも拗ねたように言った。


 いや……妹が兄のフェチを刺激するのは、普通にやめて下さい💦いろんな何かがもの凄く歪みそうなんで!


「この格好で」ではなく、「この路線で」という部分にも注意が必要かもしれない。同じ格好で同じことをされるとだんだん慣れることができるかもだが……今度も同じことをしてくるとは限らないわけだし。




「お手柔らかにお願いします」


 オムライスは、俺の好みの絶妙な半熟具合と味つけでとても美味しかった。

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