蒸気けぶる街、種族を超える恋、そして。

物語の冒頭から引き込まれました。この世界のしくみ、社会の様子、ひとびとの暮らしがこれでもかというほど丁寧に描写され、まるで映画を見ているかのように場面が克明にこころに描かれます。

一方で、主人公たちの想い、気持ちの推移も、そうした背景描写以上に緻密に細やかに、そして濃密に映しだされます。まるで蒸気がかすかに靄をかけるなか、物語という布の編み糸いっぽんずつを、解きほぐしていくみたいに。

美しいことばづかい、精緻な時代設定、そして社会ドラマまでえがきこんだ本作。絶対に読んでいただきたいおはなしです。自信を持ってお勧めします。

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