蒸気機関が発達した世界。
石炭まみれになって働きながら、夢のために特待生として学校に通う、瑠奈。
経済界の覇者「鴻家」の長男で、なのに、どこか孤独な御曹司、朔夜。
まったく立場の違うふたりは、学年首席を争うライバル。
そして、両片思いの間柄でした。
あるとき、暴漢に襲われそうになった瑠奈を朔夜が助けます。
――狼の姿となって。
彼は「人狼族」だったのでした。
その事件をきっかけに、急速に距離を縮めるふたり。
けれども、ふたりとも、互いに自分に自信がありません。
そのため、なかなか、その先の一歩を踏み出せずにいます。
読者としては、もどかしい、ふたりです。
恋だけではありません。
瑠奈は、夢を叶えるために。
朔夜は、人狼族であること、そして「鴻家」と向き合うために。
未来を切り拓く一歩のために。
ふたりは、変わっていかなければならないのです。
――だから、これは。
恋と夢と未来のために、自分を変えていく物語。
ふと、気づくと。
瑠奈と朔夜だけではなくて、彼らの周りの人々も皆、自分を見つめているのです。
ふたりに影響を与えながら、ふたりから影響を受けながら。
そんな、誰もが前を向いていく物語――だと思います。
「22. 恋は、とっても」まで読んでのレビューです。
この回、名表現と台詞がすごくて…!
恋のお話であり、成長物語であり、好感度の高いヒロインに感情移入して読む人は多いのでは。中学生くらいから大人までの、女性に特に向いていると思います。
22話では目からうろこの落ちる音が書かれてるんですが、その音にビックリ!
作者様の非凡な言語センスを感じます。
台詞も抜群。
読みやすいことこの上なく、まったくストレスがありません。素晴らしい!
「8. ありがとう、瑠奈」まで読んでのレビューです。
素晴らしすぎて……。気になった方は是非、少なくとも「8. ありがとう、瑠奈」までは読んでみてください。
好感度の高い恋愛ファンタジーです。お薦め!
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その後、「12. 綿あめのような」がまた素晴らしくて、★を追加しました。
上流家庭の訳あり人狼少年・朔夜と、労働階級で勉強も頑張る健気女子・瑠奈。
最初は成績の優劣で競ってるだけのように見えた二人が、どんどん心の距離を縮めていくピュアなラブストーリーです。
とにかく、二人が可愛すぎて悶えます!
完璧男子に見えた朔夜の不器用すぎる一面や、しっかり者なのに鈍感とふわふわを併発しちゃう瑠奈の可愛い乙女っぷり。
もうこの二人、うまく行くしかないじゃん!と、読者も微笑ましく見守る心境になっていきます。
その一方で迫りくる、朔夜を取り巻く確執、人狼の宿命。
瑠奈が直面する、労働階級の劣悪さや厳しさ。
様々な不安や困難が二人に襲いかかります。
二人とも、早く…早く幸せになって…!(切実)
スチームパンクな世界設定と二人のキャラクター設定が、作品にしっかりと溶け込み、物語をどんどん盛り上げていきます。
設定、キャラクター、じれじれな恋模様、シリアスなストーリー。
すべてがほどよいバランスで練り上げられた、とても素晴らしい作品です。
ぜひぜひ、ご一読ください♡
主人公は、名門の学校に特待生として通いながら、毎日石炭まみれになって働く女の子。彼女と成績のトップ争いをするのは、財閥の御曹司。でも、彼は大きな秘密と孤独を抱えているようで。
この交わり合うはずのない二人が出会った時、ふわふわでトキメキな毎日が始まります。
どちらとも自分に自信がない上に超鈍感、相手のことはすっごく理解しているはずなのに、どうしてそこだけ分からない?!
身分違いの二人の恋は、階級社会の理不尽さに時に揉まれながら、それでも着実に力強く進んでいきます。彼女たちを支える周囲の人たちもハートフルで、どんな困難にも決して負けないという気持ちになってきます。
思わずこちらも突っ伏してしまいたくなる甘い恋と、生きづらい階級社会を力強く歩んでいく二人の姿がとても爽やかな物語です!