ファンタジーとオカルトが共鳴するボーイミーツガール長編

父親との距離感に悩む高校一年生・大磯拓磨は、ある朝に一羽の不思議なカラスを助けたときから、今まで「見たことがなかった」ものが「見える」ようになり、超常現象に襲われるようになってしまう。

そんな拓磨を助けたアンティークショップの男・白戸に、拓磨の運命を変えたカラスの姿をした謎の少女、人目を引く美貌を持つ同級生に、拓磨と同じく「見えないもの」を感じ取れる先輩……特殊な現象を知覚できるようになった拓磨の運命は、周囲の人たちの運命と共鳴し、誰かの強い思いや陰謀が渦巻く事件へと、拓磨たちを導いていく。

本作の魅力は、なんといっても個性的なキャラクター。こちらの作者様は、登場人物の内面の描き方が本当にお上手で、拓磨を支える仲間たちとの会話に、時に和やかさを感じたり、時に優しい気持ちをいただいたり……打てば響くような掛け合いを、とても楽しませていただきました。己の生い立ちに対して思うところがある拓磨が、少しずつ心の殻を破って、勇気を拾い集めていく流れも魅力的です。

どんどん強くなっていく拓磨たちが、第二部でどんな活躍を「見せて」くれるのか。今からとても楽しみです。

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