目立たない高校生・拓磨は不思議な経験を皮切りに『神粒』の存在を知ることに。超常現象、生命の真理まで説明することに通ずる『神粒』は万物と共にある。
空気であり、生物であり、人の想いに左右される『神粒』を認識するようになった拓磨は様々なことに巻き込まれるようになり――
最初にお断りをしておくと、一言で説明ができません。超常現象、神の使い、陰陽師、父との確執――上げ始めたら切りがないのに、どんどん紐解かれてく謎で、項をめくる手が止まりませんでした。
情けないともとれる主人公がたくましく成長していく姿も必見です。可愛らしいWヒロイン、便りになる先輩、大人達の思惑、なんと言っても、読めない店主は髭をはやしてずぼらな見た目に反して随一の陰陽師だからもう目を離せません。
久しぶりに、「とりあえず読んで、読んだ方がわかるから」という作品に出会いました。とりあえず読んで、このふわふわしたレビューの意味わかるから、とりあえず読んで(大事なことなので三回)
父親との距離感に悩む高校一年生・大磯拓磨は、ある朝に一羽の不思議なカラスを助けたときから、今まで「見たことがなかった」ものが「見える」ようになり、超常現象に襲われるようになってしまう。
そんな拓磨を助けたアンティークショップの男・白戸に、拓磨の運命を変えたカラスの姿をした謎の少女、人目を引く美貌を持つ同級生に、拓磨と同じく「見えないもの」を感じ取れる先輩……特殊な現象を知覚できるようになった拓磨の運命は、周囲の人たちの運命と共鳴し、誰かの強い思いや陰謀が渦巻く事件へと、拓磨たちを導いていく。
本作の魅力は、なんといっても個性的なキャラクター。こちらの作者様は、登場人物の内面の描き方が本当にお上手で、拓磨を支える仲間たちとの会話に、時に和やかさを感じたり、時に優しい気持ちをいただいたり……打てば響くような掛け合いを、とても楽しませていただきました。己の生い立ちに対して思うところがある拓磨が、少しずつ心の殻を破って、勇気を拾い集めていく流れも魅力的です。
どんどん強くなっていく拓磨たちが、第二部でどんな活躍を「見せて」くれるのか。今からとても楽しみです。
主人公はどこにでもいるような大人しい高校生の少年、拓磨。ある日ゴミ置き場を荒らしているカラスに額へくちばしキッスを受けたことから、拓磨の日常は徐々に変わりはじめ…?
幽霊、超能力、神と呼ばれる存在。私たちの住む世界には、所謂オカルトや都市伝説などと括られる現象があふれています。
本作は、そういった摩訶不思議な存在や現象が科学的に証明された世界が舞台です。
読み進めるたびに世界の真実がつまびらかになっていったり、散りばめられた伏線の数々がスルスルと回収されていったり、とにかく読み心地が気持ちいい!
さらに物語を彩る登場人物たちは、揃いも揃って個性的で魅力的なキャラクターばかり。
孤高の美少女クラスメイト、美少女に変身するカラス、曰く付きの骨董品が集まるアンティークショップの無精髭店長、神主跡取り息子のスポーツマンな先輩。あと個人的にお気に入りなのが、陽気な×××(ネタバレになるので本編でお確かめください!)
なんの因果か繋がり集った主人公たちが挑む相手も、なんとも癖がつよく強者揃い。終盤は特に手に汗握る展開が続き、ドキドキハラハラが止まりません。
オカルトミステリーが好きな方にはもちろん、ちょっと不思議なボーイミーツガールに興味がある方にもおすすめ。
珠玉の現代ファンタジーです。
父親との距離に悩む主人公大磯 拓磨。平凡で、少し長めの前髪と眼鏡を掛けた姿というようなどこにでもいる主人公。
彼の日常は、ある日出逢った鴉によりつけられた印により段々と変化の兆しを見せはじめる——。
現代社会の中で、その常識を覆すような「神粒」という存在が公表され、やがて拓磨もそれを巡った不穏な動きの中に身を投じる事に。
序盤は受け身のようにも感じられた優しい主人公が、どんどんとその心の強さを発揮し様々な困難に立ち向かって行く様子には胸を打たれます。
そして彼を取り囲む鴉——な美少女、不思議なアンティークショップの店主、オカルト系の話題を口にする学校随一の美少女、そして頼れる先輩と登場人物もすごく魅力的。
陰陽師という存在の不可思議な力を、神粒という物質と絡めてしっかりとした設定の下に書き上げてる手腕も、作者様ならではのお見事!の一言。
やがて浮かび上がってくる怪しげな新興宗教団体とその野望。政府の機関との三つ巴展開。全てを巻き込み動き出すそれぞれの思惑。
その中で弱気だった主人公が前を向き、父親や周りの人達との絆を紡いでゆく。彼が自分から未来を掴もうと諦めずにその力を出す時、タイトルの意味が一気に読者の脳裏を駆け巡ります。
最高なので、後半はもう一気読み必至。
鴉との絆が可愛いので、個人的にはそこも注目して読んでほしいところ(笑)
第一部完結の時点でこのレビューを書いていますが、続きがもう気になってしまう……! しかし物語の世界観やその軸をじっくりと楽しめるので、今から読んでおいて全く損はないでしょう。むしろ読むべき!
鍵となる『鏡』とは一体。その謎が明かされていく展開もドキドキです。
万物に宿る神、物が命を灯した付喪神。鏡に映るこのうつし世に、どれほど神と名のつく物があるでしょうか。
もしかしたら、あなたのすぐ側にも。
聞こし食せ彼らの願いを。聞こし召せかの物語を。
大注目の一作間違いなしです!是非とも。
最初は主人公とその周辺だけで起こる怪異を解決していくお話なのかと思っていましたがどんどんスケールが大きくなり圧倒されました。登場人物の関係がぎゅっと収束したときは見ていて爽快であり、こういう繋がりがあるのかと発見に心躍らせることができました。魅力的なキャラクターが多いなか、私のイチオシは鴉のヤタで外見はもふりとした鴉ながら愛らしい少女になることもできてかつ御使いのわりに知らないことがあったりとくだけた所が可愛らしかったです。それと付喪神つきの打掛ですね。初めて見たらびっくりするのは確実だけど陽気で優しい性格にちょっとうちにも居てほしいな、と思ったりしました。本作はまだまだ更に壮大な物語の序盤とのことで、続きを楽しみにしております
世界の常識を大きく作り変える「神粒」と言われる物質が世間に公表された。
今作は意志の力に反応するこの物質を下地に、一人の男子高生「大磯 拓磨」の変化する日常と立ちはだかる困難に立ち向かうジュブナイルな現代ファンタジーです。
ちょっと童顔で眼鏡をかけ大人しい雰囲気の主人公の拓磨くんはある日、ゴミ捨て場で一羽の鴉と出会い、額にくちばしからの有難いキスを頂きます。何事かと思えば後日、その鴉が彼の部屋の窓を叩き訪れたではないですか、部屋に招き入れると鴉はそのまま拓磨くんの唇に向かって衝撃のセカンドキス! 読者がドキドキして見守っていると、鴉の姿は徐々に変化して黒いセーラー服が似合う美少女に。
今作のヒロインの一人、鴉っ娘「ヤタ」ちゃんの登場です。
そんな出会いを経て一人と一羽はとある探し物を見つける為に奔走する事になります。
その過程で出会う物語を彩る個性的な登場人物達、オカルトに詳しい高根の花のクラスメイト「加賀見 愛梨」、たくましい神社の先輩「古賀 正樹」、アンティークショップを営む謎の男性「白戸 英寿」。拓磨くんと関わる彼ら彼女もユニークな人柄で読んですぐに好きになりました。
穏やかな日常を変える神粒によって発生した異変、ヤタちゃんの探し物、裏で動く国と謎の宗教団体の存在。時にその変化は拓磨くんに襲い掛かり、彼は自らの意思で変化と戦っていくことを決意します。
序盤は何事も無い学生生活が静かに始まり、その節々に微かに違和感を感じる伝奇小説のような一幕にワクワクして、話が進むごとに違和感が大きくなる展開にゾクゾクしました、話作りの上手さと設定の深さに驚き、最後まで飽きることのない胸躍る展開の連続でした。
今作で私が一番魅了されたのは何と言っても主人公の拓磨くんとヒロインのヤタちゃんのベストコンビです。
とにかくこの一人一羽が可愛いんですよ! ちょっとした掛け合いや仕草にいつまでも眺めたくなる愛嬌があり、拓磨くんが眼鏡の奥から時折見せる男らしさもグッド!! 優しくて度胸もある彼にもふっと寄り添うヤタちゃんの姿が最高の一言。
第一部が終わり、まだまだ重なり広がる合わせ鏡のようなボーイミーツガール。
日常から一歩離れた、ちょっとした未知への探検。素晴らしいお話をどうぞ。
面白い!その一言に尽きます。
読者はこの新しい世界観に夢中になることでしょう。
この物語の面白いところは怪奇現象や陰陽師の力を、「不思議」で終わらせていないところです。
「神粒」と呼ばれるものを元に怪奇現象が起こされていることや、生物の進化に準えてあらゆる事柄に説明がつくようになっています。中でもオンラインゲームと神粒の力が結びつくアイデアは素晴らしい!
敢えて「不思議」を理論づけることで物語のリアリティが増し、より読者を物語の世界へ引き込むのです。
設定だけでなくキャラクターも魅力的。
特に主人公の大磯拓磨は気弱で「可愛い」という言葉がぴったりな少年です。
自分にあまり自信ない男子高校生ですが、大切な人のためなら自己犠牲も厭わない。人として成長していく姿は目が離せません。
他にも気の強い、美少女な同級生に頼りになる剣道部の先輩。マスコット的存在のカラスの女の子。不思議なアンティークショップの店員さんに、現代に復活した陰陽寮のお役人さん方などなど……。語り尽くせません。
今後、物語の展開が非常に気になります!
是非、新感覚の怪奇世界に貴方も足を踏み入れてはいかがでしょうか?
どこにでもいそうな地味系高校生、拓磨(たくま)。母を亡くして以来開いてしまった父とのビミョーな距離感に悩みつつも、静々とスクールライフを送る普遍的な少年です。VRゲームの腕にはちょっとした自信がありますがそれ以外は引っ込み思案で、クラスメイトたちとも少し壁を築いてしまっている――そんな彼がある日、ゴミ捨て場でふしぎなカラスと出会うことで物語は幕を開けます。
カラスとの“キス”(!)以降、拓磨のまわりでは次々に怪奇現象が起こるように。それらの現象を起こしているのはどうやら『神粒』と呼ばれるエネルギーたち。使い手によって良くも悪くも絶大な影響を与えるそのエネルギーを蓄えやすい特殊体質であることに気づいた拓磨は、力を身につけるため多くの人物を頼ることに。
しかしようやく修行をはじめたばかりの拓磨を追い詰めるように、大きな陰謀が日本と世界を巻き込んで動き始めます。急速に発展していく怪しい宗教団体、政府の者でありながらやけに強引な手で拓磨のクラスメイトを狙ってくる謎の人々……こうなってはもう、拓磨はただの大人しい男の子ではいられません。現代っ子の知識と閃きをフル稼働させ、少年は大人顔負けの行動力でトラブルに挑んでいくのです。
しっかりとした構想に裏付けされた文章は安心して読み進めることができるのはもちろん、本作の面白みは「科学」と「オカルト」の間を行くようなファンタジーさ、そして何より骨太のヒューマンドラマにあると感じました。たとえ「ふしぎ」なしゃべるカラスと出会っても、妙なエネルギーの粒が見えるようになっても、さらに付喪神として手が生えている打掛(羽織り)に気に入られようとも――拓磨はやっぱり、ただの高校生の男の子なのです。自分の生活を放り出して世界を救う旅に出るわけじゃありません。
父との距離の修復も、愛への飢えがもたらす寂しさも、未知へのワクワクだけでは消し去れない。スーパーチートを身につけて全部解決!なんて調子良く運ぶはずもなく、拓磨は身近な問題につまずき失敗し、迷惑をかけながらもひとつひとつ丁寧に向かい合っていきます。長い前髪と伊達メガネをかけ俯きがちだった少年はこうして、ちゃんと自分のちからで強さを得ていくのです。うーん、そこがたまらなく良い!
拓磨の変化を助けてくれるキャラクターたちも、もちろん魅力的。学校でも随一の美少女ながら少々残念なオカルトオタクに、強気な態度に爽やかな笑顔が印象的な神社の跡取り息子。謎多きアンティークショップを営む『神粒』に通じた優男、そして“キス”することで美少女に変身するカラス。ゲームの世界に引きこもっていた少年がこれだけ強烈な人物たちと出会えば、変わらないはずがないのも納得です。
第一部は『神粒』の仕組みや拓磨の身辺状況を把握するため、大変丁寧な出だし……と思いきや、最後にはドキドキなアクションパートもがっつり仕込まれていたのには度肝を抜かれました。ここまででもしっかりと拓磨の成長を感じることができ、綺麗に話もオチてすっきり!早くも再開が待ち遠しくなっている読者です♡それまで『神粒』の修行、しっかりやっておきますね(蝋燭と紙を用意しつつ)。
ちょうど良い文量であっという間に読めてしまう第一部。追いつくなら今ですよ!
父親との距離感に悩みつつも普通の日常を送っていた高校生、大磯拓磨。
彼はある日ゴミ捨て場で不思議なカラスと出会い、額にまさかのキスマークをつけられてしまいます。
(しかも不思議な形をしていて消えないんです)
それ以降、彼の日常は一変し、靄のような不思議で恐ろしいが見えるように。
それはこの世界に存在する「神粒」という物質。人の想いによって善いものにも悪いものにも変化する、とても奇妙で使い方によっては非常に危険なものでした。
やがて彼は「神粒」をめぐる争いに巻き込まれていきます。陰陽師や謎の宗教団体なども絡んで、更には彼の出生に関わることも。
その先にある真実とは果たして……!?
この作品は「神粒」という架空の物質を扱っていますが、その設定の作り込みが巧みで非常に現実感のある物語です。
しかも読めば読むほど次々に謎や主人公の意外な事実が判明し、先の見えない展開で最後まで読者を楽しませてくれます。
ちょっとしたことが伏線だったりもするので、後で「あの時のアレはこうだったのか⁉︎」という、ミステリー的な面白さがあるのも特徴です。
また、主人公の大磯拓磨くんを始め、他の登場人物たちも個性豊かで魅力的!
美少女ですがオカルト好きで少し浮いているクラスメイト。怪しいアンティークショップの店長。神社の息子である頼りになる先輩。そして、件のカラス……を名乗る黒髪の美少女などなど。
彼らの掛け合いや意外な繋がりも物語を楽しく彩ってくれます。
第一部完結ということで、まだまだ物語は謎が残っています。
こちらを読みながら、じっくり第二部に向けての想像をめぐらせてみてはいかがでしょうか?
おすすめの作品です!
最後まで読ませていただきました。
こちらは、現代の日本を舞台に、とある高校生の男の子が「神粒」という物質の謎に迫り、そして力を手に入れ、敵対するものと戦いを始める序章という物語となっています。
今回の第一部では、主に「神粒」の謎を紐解き、深掘りする内容となっており、作者さまが得意とする、ファンタジーならではの説得感とその世界感が存分に堪能できる構成となっています。
ファンタジーだけれども、まるでリアルのように感じられる内容がとても好きです。
物語をより深く知り、味わいたい方に刺さる物語だと思います。
また魅力的な登場人物も多く、中でもアイコン的にみんなを癒すカラスのヤタちゃんには読んでいてとても癒されました。
陰陽師や超常現象、和を取り入れたファンタジーなどお好きな方にぜひおすすめです!
この話の主人公は、物静かな少年である大磯 拓磨。
幼いころ母を亡くし、父親との距離感に悩む高校生。
そんな彼がある日、ゴミ置き場で見かけたカラスから額に熱烈なキッスならぬ、嘴で突かれたことで彼の環境は一変、今まではなかったものが「視える」ようになってしまいます。
おりしも世間では「神粒」と呼ばれる物質が認識されつつあり、その扱いをめぐる争いに彼は巻き込まれていくことになります。
もちろん彼は一人ではありません。
ミステリアスなクラスメイトの美少女や同じく「視える」力を持つ神社の跡取り息子である学校の先輩。
そして拓磨の力を導いていくことになるアンティークショップの店主など様々な人物が彼を支え、時に共に成長をしていくことになります。
そしてそして、魅力的なのは『人物』だけではありません。
話すことも、かわいらしい少女にも変身できる神の御使いであるヤタや、アンティークショップで登場人物のサポートや読者の心をもぐっと掴んでしまう打掛さんなど実に魅力的な登場『人』『物』たちが繰り広げていく物語。
ぜひ皆様もその素敵な世界に飛び込んでみてください。
どこにでもいるような大人しめの眼鏡男子、大磯 拓磨。略してたっくん。
物語はたっくんが不思議なカラスにくちばしキッスを受けるところから始まります。
そこから強烈。美少女ではなくカラス!
でもこのカラスに皆さんきっとメロメロになるはずです♡
ファンタジーで言うなら「魔力」とか「マナ」みたいなものが、この世界では「神粒」という物質として一部の人間のあいだで浸透しています。なぜ一部なのか。それは神粒が人の思いによって、良くも悪くも変化するから。怖いと思えば化け物になり、人を操ることも可能かもしれないという、非常に危うい側面も持っています。
そんな神粒を突然感じられるようになった少年たっくんが、不思議な運命の糸によって今後の人生を左右するかもしれない邂逅の物語。
魅力的な登場人物の数々。張り巡らされた伏線。
現在公開されているのは1部のみ。散りばめられた謎は明確には明かされていない箇所もありますが、それでも読者が「これってもしかして?」と想像できる余地が残されているので、消化不良という感じは受けません。むしろその想像を読者は楽しめると思います。
答え合わせもかねて、第2部の公開が待ち遠しい!
個人的にはヤタちゃん最高にかわいいです!!
日常でカラスを見るたびに「ヤタちゃん♡」って思ってしまうほどのめり込めるので、本当におすすめの現代ファンタジー。
普通の日常を送っていた高校生、大磯 拓磨はある日鴉に突かれ、それが原因で謎の靄を見てしまう。この靄の正体は「神粒」。人の思いに影響を受け、実体化させる物質です。
鴉こと優秀な御使いであるヤタは拓磨に鏡姫を探してほしいとお願いをし、彼はヤタのお願いを聞いてあげることに。神粒のことを学んでいくうちに彼の親族や彼自身にまつわる秘密、そして謎の宗教団体の存在が明らかになっていく現代ファンタジー作品です。
この作品の根幹を成すのが謎の物質「神粒」。人の思いの強さに影響を受けるこの物質は、あらゆるオカルト現象のもとになっています。暗闇の中に何かがいると信じ込んでしまえば神粒はそれを実体化させてしまうし、大切にされてきた思念が物に宿れば付喪神となる。そして人々の思いが強く、またそれを望む者が多ければそれは神をも生み出してしまうことに。
本作は現代ファンタジーではありますが、派手な異能バトルがあるような作品ではなく、どちらかというとヒューマンドラマ的側面の強い作品です。神粒を使いこなせる「陰陽師」という職業が出てきますが、あくまで式神を使役したり実体化させることくらいしかできません。
神粒を操るという能力はあくまで付属品であり、問題を考えるのも解決するのもすべて生身の人間自身の能力に委ねられます。どちらかというとファンタジー要素がほんのり加わった人間ドラマという読み口ですが、だからこそ彼ら自身が自分にできることを考え、葛藤し、前に進んでいく姿に読者は共感できるのです。
序盤から散りばめられたいくつもの伏線がページを繰る度に一つに集約していく構成も面白く、再読する度に新しい発見があるのも見所。
特にラストの展開でタイトルが回収される場面は必見です!
科学が発展し、神や霊などいないとわかっていても、人の心は弱く何かに縋らずにはいられません。人の心の強さも、弱さも、本作は真正面から丁寧に描いています。
最初は頼りなく見えたキャラが自分の意志で敵に立ち向かうシーンや、家のしがらみに囚われていたキャラが正しい選択肢を掴み取るシーンは、読者もきっと熱くなれるはず。
この世界に息づく彼らの生き様にほんの少しのファンタジー要素を添えて。人間になっちゃう可愛い鴉の女の子や頭の切れるイケオジ陰陽師。甘酸っぱいラブコメ要素やヒューマンドラマにミステリ要素など、読者を楽しませてくれる仕掛けがたくさんあります。気になる方はぜひ一読してみてはいかがでしょうか。
黒縁眼鏡と前髪で顔を隠した主人公の拓磨。
小柄で大人しい少年がクラスメイトの美少女、加賀見と関わったところからストーリーがはじまります。
ゴミ置き場で見つけたカラスを追い払えずに話しかけてみれば、なんと熱烈なキッスのお返しが……!このカラスのキスマーク、なかなか消えてくれません。
そしてそれ以降、突然に見えるようになった謎の靄。『神粒』と呼ばれる物質と『鏡姫』の存在。少しずつ謎が明かされていくのと同時に、拓磨に関わっていく人物も増えていきます。
喋るカラスのヤタ、ミステリアスな美少女の加賀見、アンティークショップの店主の白戸、神社の跡取り息子で一つ上の先輩である古賀。
派手な異能力バトルは後半に……とのことですが、解き明かされていく謎、母親の死がきっかけでぎくしゃくしていた拓磨と父親との関係、暗躍する国の機関と宗教団体など、じっくりと描かれていくストーリーは他にも見所がたくさん!今にも動き出しそうなキャラクターデザインも必見です。
小柄で目立たない高校生、大磯拓磨(おおいそたくま)には悩みがある。
母を亡くした時から広がった父との距離、進路のこと。
交友関係はゲームを通じてなんとか構築できているものの、孤独な環境で将来を思い悩む少年が、この物語の主人公です。彼はある日、ゴミ捨て場にいた大きいカラスに話しかけたことから、思わぬ超常体験へと巻き込まれてゆくことになります。
全ての背後にあるのは「神粒」という存在、鍵となるのは「鏡姫」。現代の陰陽師や不思議なカラス少女、そして過去に起きた悲惨な事件との関係とは――。
ほんのりSF的な解釈を添えて、異能とも呼べる力を扱えるようになった少年が自分の生き方を探ってゆく物語です。
拓磨くんの心を射止めるのは、美少女か人外かそれとも男性か。繰り広げられる人間(&人外)模様も目が離せません。ぜひご一読ください。
伸びた前髪に黒縁眼鏡。主人公の拓磨は小柄で目立たない一高校生——のはずなのですが、少し変わった噂のある美少女クラスメートの加賀美と、ちょっとしたアクシデントで距離が近づいたその日から、彼の周囲では奇妙なことが起き始めます。
しゃべるカラスに、ふとした拍子に浮かび上がる白とも黒ともつかない妖しい靄。追いかけるように迫ってくる謎の声に、ついには意識を失ってしまった拓磨を救ったのは怪しいアンティークショップの店主だった。彼が語るその靄の秘密とは——。
互いが互いを知らず、偶然に出会いながらも、実はその運命は複雑に絡み合っていたことが少しず明らかになっていきます。そして、大きな可能性を秘めた鏡姫と神粒を巡る攻防は、やがて国家を揺るがすような大きな陰謀へ。
時には醜悪なほどに自らのために力を願う人もいれば、誰かを守るために願う人もいる。果たして神粒と鏡姫の力を得るのはどちらなのか。
甘酸っぱい恋の行方や、執着心、そして今どきなVRゲームを活かした異能バトルもワクワクの一作。
十五万字程度と読みやすい長さなのでずずいとこの世界に浸っての一気読みがおすすめです!