封人演義

名著「六韜」など、後代になっても親しまれる軍書をしたためたとされ、太公望の名で知られる伝説の軍師、呂尚。

彼を姜子牙とし、魔獣や仙術、宝具や妖怪の類と共に描いた痛快絵巻として今なお世界で愛読される封神演義のおもしろさはここで言うまでもないが、むろん、それは創作のことであり、彼の実際の姿をあらわすことを目的としていない。
また、史記などにおいても彼の半生については諸説あると断り書きされ、彼の生きた時代から遠く離れた現代において、それを知る術はない。

ゆえに、想像する。
演義、とは、おはなし、という意味である。
これは、筆者が想像する、呂尚という一個の人間についての創作である。

彼が何のために才を得、磨いたか。
けっきょく、呂尚という生き物は、どのようなものであったのか。

その時代背景や…続きを読む