赤目の黒兎、片翼の鷲

薄暗い森の中、幼子は目を閉じる。
幼子の右目は血のような赤い瞳をしており、悪魔の落とし子、忌子として村人から忌み嫌われ、虐待されながら生きていた。逃げ出した森の中で短い人生に幕を降ろそうとしていたその時、右目に眼帯をした青年に拾われた。
拾ってくれた青年の為、幼子は全てを捧げ傍に居たいと願うようになる。

やがて巻き込まれる争いの中、悪魔と恐れられるようになった幼子は、片翼の鷲を紋章とする青年の傍らで剣を振る。ただ一つ、傍に居たいという願いの為、幼子は己の命さえも惜しみなく差し出そうとするのだ。
忌子は望む。かの麗しき我が主の望む世になる事を。彼が思うがままに生きられる世界を。忌子を拾い上げ慈しみ愛してくれた麗しき主の為ならば、価値等無い我が命など安いもの。
剣を取れ。剣を振るえ。我が主の為…続きを読む