令和になったからこそ読み進めたい

 現在、このレビューを書いてるのは、令和4年11月26日です。現時点でアップされている192話を読んだところです。

 タイトルにある通り、平成――つい4年前まで過ごしてきた時代を舞台にしているのに、どこか懐かしく感じさせてくれるのは平成の30数年も、二度と来ない30年だったと思わされるくらい、良い事も悪い事もあったという事なのかも…と思わされました。

 妖怪や、そのハーフが出てくる現代ファンタジーですから、決して人間ドラマが主として書かれている物語ではないのですが、そういった感情を刺激する力のある文章が魅力です。

 また設定に関しても、前半部分、主要キャラの名前が■■■■と伏せられている点が、とても面白く感じました。

 映画化もされた有名な伝奇ものに、「名は、個人を縛る最小の呪なのだ。形のない人の気持ちまで縛られる呪で縛れないという事は、それは何ものでもないという事だ」というものがあります。

 その形のない人の気持ちすら名付けられるというのに、彼女はそれを持たないというのですから、私には不安が強く感じられてしまいます。

 だから守ってくれる直文に頼もしさを覚え、この物語に少年マンガ的であり、少女マンガ的でもある部分――マンガから一歩、進んで、文章で楽しめるくらいになった読者を想定した、ライトノベルでなければならない理由も見える気がします。

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