第7話 あんなやつ
ケイレブが急に「
「リーセさん、あの広場で声を掛けてきた男は知り合い?」
一瞬誰のことだかわからず、考え込んでいるとライリーが言葉をつづけた。
「あの人、キミのことを探してたみたいだけど、何か心当たりある?」
“「やっと見つけたぞ」”
あの気だるそうな声を思い出した。
いままで特に気にしていなかったが、確かにあの男は自分のことを探していた。
心当たりと言えば・・・。
リリーは、隠すように首から下げている小さな
もし、あの手紙にあったようにこれを狙っている者がいるならば、いつまでのこの辺をウロウロとしてはいられない。
そのリリーの姿を見て、彼は何かを
「大丈夫だよ。もしあの男がまた来ても、今は僕がいるし、その安心して」
「随分と頼りになる
彼なりの
ライリーも恥ずかしそうに笑い出した。
「僕とケイレブは
正直、
ライリーの
「僕さ、小さい頃、身体があまり丈夫じゃなくて、事あるごとに熱を出して寝込んでたんだ。そんなんだから友達と遊べなくていつも
ボーっと
自分の
「ケイレブは、ひとりで遊ぶ僕を見て『
「バカっぽい子供ね。」
「そのまま身体だけ成長しちゃったんだよね。」
妙に納得した。確かにあの変な自信の持ち方や、行動原理は幼い子供の様だった。
「あんなやつでも今は感謝してる。彼のおかげで知らなかった世界を見ることができた」
ライリーはどこか満足そうに微笑んだ。目に映る炎が揺れていた。
彼のことを信頼しているのだろう。
「あなたも
その問いに対してライリーは、何かを決心したような顔で小さく頷いた。
「この仕事を終えても入団できるわけではないけど、夢に近づくのは確かなんだ。」
確かに、聖堂騎士になれるのは一握りの人間だけかもしれない。
リリーは、そう思えるほど彼に信頼感が
「それにしても、遅いなぁ。」
とライリーはため息をついた。
「そういえば、まだ帰って来てないわね」
ライリーは立ち上がると、松明に火をつける。
「ちょっとその辺を見てくるよ。」
「あたしが見てこようか?」
「ううん。リリーさんはここにいて」
「あ、うん。」
そういうと、ライリーはケイレブが向かった方角へ歩いて行った。
リリーは、しばらく遠くに消えていく彼の背中と松明の明かりを見ていた。
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