第3話 夢の我が家
「ああ!腹立つ!なんなのあいつら!」
リリーは、薬草採取の際に訪れた林で
エルフにとって、森や林での生活は
彼女は、物心がついた時からベヒン村で育ち人間社会に慣れてしまっていた。
暖かいベッドや、座り心地の言い
それでも旅をしていれば、
だからこそ、
「大体
と言いかけたところで、ふと自分の姿を見直した。
赤いフード付きのローブに身を包み、顔は常に隠し、軽装の防具を
どう見ても怪しい女だ。
しかも追っ手と思わしき男たちが自分の所在を聞きまわっているときた。
完全に“
リリーは、その場で
何にしても、明日報酬を貰ってからでないとこの街を後にはできない。
そうこう考えているうちに、リリーは眠りについていた。
息を
兎の耳がピクピクと何かを
兎は、その場に倒れこんだ。
「すごいよ!リリーちゃん!」
ヤーヘルは、興奮していた。自分はまだ生き物を
ふふんと得意げな顔をしたリリーが、兎の
「ヤーヘル!約束通り、これ
「え、いま?家に帰ってからじゃダメ?」
引き気味の彼の顔を見て、少しイラっとした。
兎を一発で仕留めたら肉を
それが今になって家に帰ってからだと?こっちは急いでるんだ!と念を込めた無言の圧力でヤーヘルに向かって笑顔を向ける。
「すみません!やります!今すぐ
ヤーヘルは知っていた、この笑顔は、ブチギレ寸前の合図だということを・・・。
リリーは、走った。約束の時間から
ただ遅れたわけではない。
この手にある新鮮なうさぎの肉で、おばあちゃんは許してくれるだろう。
まばゆい光の中、赤いローブがなびく。大きな木を何本も通り抜けた。
どんなに走っても目的地に着かない気がしていた。
光の先に祖母とリリーが住む家が見えてきた。
勢いよく、扉を開ける。
遅れてごめんなさいと声を上げようとした。
――家中に、真っ赤な血液が飛び散っていた。
その奥にいるのは、虫の息の祖母。
その
叫び声が聞こえ、リリーは飛び起き辺りを見回した。そこは、林の中だった。
周囲にうっすらと明かりが差し込み、鳥のさえずりが聞こえている。
先ほどの恐ろしい光景が夢であったこと、あの叫び声は自分の声だったことを理解するのに、時間はかからなかった。
いや、正確には“夢であってほしい過去の出来事”だ。
また、うなされていたのかと、これで何度目だと・・・リリーは、祖母に託された小さな
草木の匂いに包まれると、あの時の記憶が
それが宿屋を
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