第9話 命を懸けた戦い
「えっと・・・お腹減らない?」
「別に・・・」
この状況になってから、
最初のうちは「こうしている間にも真犯人は逃げている」とか
「田舎のお母さんがこの姿を見たらなんて言うかしら?」とか
「犯人探すの手伝うから」とか
色々言ったが、全く効果はなかった。しかも頼りの男たちも帰ってこない。
命を懸けたにらめっこは、
プライドをかけた我慢比べへと発展していたのだ。
「ねぇ、間違いを認めて剣を下ろさない?」
「・・・」
「攻撃しないから、ね?じゃあ一緒に武器を捨てよ?そうすれば丸く収まるでしょ?」
リリーの提案に、男は微かに頷いた。
「じゃあ、あたしがゼロって言ったら武器を捨てて、3、、、2、、、1、、、0!」
リリーは、言葉通り武器を捨てた。
――そう弓の方を捨てたのだ。
対して、男は短剣を持ったままだった。
まだリリーの首元には短剣が光っていた。
「はぁ?ズルくない?」
「お前こそ、矢持ったままだろ」
「一緒に武器を捨てようって言ったじゃん!あたしは武器捨てました!」
「やるなんて言ってない!ちょっと首を動かしただけだ!」
「はぁ?
「それ、お前が言うか!?」
2人の
しかし2人は絶対に
そう、互いに負けず嫌いなのだ。
「お前、お前ってあんたにお前って言われる
「お前だって、俺にあんたって言ってるだろ!」
「じゃあなんて言えばいいのよ!でくの坊とでもお呼びしましょうか!!?」
「誰が、でくの坊だ!」
と、
――ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!
遠くから、男の叫び声が聞こえた。
「聞いた?」
「ああ、男の声だ。」
スッと武器を下ろす2人。予想外の叫び声に彼らのプライドは守られた。
しかし、問題はこの後である。
背中を見せれば刺されるかもしれない。いや、確実にコイツは刺してくる。
さっきの行動から考えて
互いに思いながら
叫び声が聞こえた方へリリーが一歩踏み出した。
後を追うように男も一歩踏み出した。
これがキッカケとなった。
その一歩は、歩みに、その歩みは、走りへと
2人は決して相手に背中を見せまいと、走り出したのだった。
「叫び声はあっちから聞こえたわよね?」
「ああ、間違いない」
さも、あなたのことは警戒してませんよ?といった
どちらかのスピードが落ちれば、並走するように自分のスピードを調整した。
まるで相手のことを気遣っているようにも見える。
しかしそれは、背後を取られたくないという思いきた
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