第5話 我輩の訪問
「ただいま!パパ!」
「お、おかえり、そちらの子は?」
リクが扉を開けると、そこにはリクの父親がいた。
「ゼータって言う男の子なんだ。」
リクが父親に言う。
「ふーん、…よろしく。」
「それでねそれでね、お腹すいてるんだって。」
「分かった、お父さんが美味しいオムレツを作ってやるよ!」
リクの父親は、厨房に入っていった。
「ねえねえ、ゼータって何族?」
リクが話しかけてきた。
「我輩か、考えたことないな。」
何せ、まだ現界して一週間経ってないし。
「
、角生えてるけど、
リクがグイグイ聞いてくる。
「
「駄目じゃない、そんなこと子どもが言っちゃ。」
頭をポンと優しく叩かれた。いつの間にか我輩の後ろに人の顔とその下には、大きい…
「うわぁぁぁ!」
当然我輩は、驚いた。
「そういうことは、言っちゃダメ。」
「分かったけれど、…我輩を子ども扱いするな!…というか母親か。」
「大人に向かって母親かとはなんですか!あれ…あはは、君、男の子でしょ。」
「なぜ分かった。」
「だって、…そこ、」
いつの間にかピーンとした股間のソレを、リクの母親が指を指していた。
「は、はぐぅ…。」
「まあいいわ。」
とリクの母親が言う。もう嫌だ、コイツ。
…厨房から良い匂いがする。
「もうすぐ、出来るからな。」
リクの父親は、料理屋兼傭兵をしている。そうさっき母親から聞いた。
どうりで、筋肉隆々なのだと気が付いた。
「お父さん、魔物をドサドサ倒すんだよね!」
リクは父親に話す。
「そうだ、でもお爺ちゃんの方がもっと凄いんだぞ!」
父親は続ける。
「何せ、あの暗黒竜ゼターと会ったことあるんだからな。」
ガチャ…。
部屋の戸が空いた。
「お爺ちゃん!やっと出てくれた。」
そこに居たのはヨボヨボで、目が見えなくなっていそうな爺さんだった。
「ああ、リク。その子は?」
「ゼータって言うんだ。こう見えて男の子なんだよ。」
「ああ、父さん。久しぶりにこっちに顔出したね。」
どうやらこの爺さんには何かがある。我輩と何かが。
「ゼータとか言ったか、ちょっとこっちに来てくれんか。」
「え?我輩?」
「我輩って、王様かよォ!あは、あははははっ!」
リクの父親は、大爆笑している。
「良いだろ、別に一人称がどんなでも。」
振り向くとそこに爺さんはいなかった。よく見るとテラスにいた。
「どうしたんだ?」
我輩は、爺さんに問う。
「お主、ゼターじゃな。」
「え?」
驚きを隠せなかった。
「分かるんじゃよ。3歳くらいのガキのころでも、デカブツが話しかけてきたことくらい。」
この爺さん、もしかして。
「あの時、喰わなかったあの子どもか。」
「そうだ。」
「でも、なんで分かったんだ?」
「儂はあれから、
「その様子だと眠りについていた時の世界の進化を知らんな?」
「ああ、教えてくれ。」
「お〜ほっほっ、まさかあんなデカブツに教えてくれなんて言われるとは、良かろう教えてやる。」
その後爺さんは、ブリンク王国の誕生は、我輩が消えて直ぐに始まったらしい。その為に色々な種族を国に入れて厄災が起きないように対策した。
だが、まだ一部の
竜人族は、空を飛行できる個体もおり、ブリンク王国の制空権を侵略しているがブリンク王国で、飛べるのは飛行魔法が扱える一部の人間と森精族のみだ。獣人族も魔法や魔術をを行える者もいるが、そこまで高度な魔法はいない。
それによりかつて空の民と呼ばれ国民から信頼を得ているユグドラシルの民、
馬鹿馬鹿しい。
そこで
だが竜人族は、長く生きるもの。学べることを全て学びたい習性があることをこの爺さんは知っていた。(竜人族というよりドラゴンの習性だったが。)
「確かに同意できる。我輩も学べることを全て学べればそれが出来なくても敵無しだからな。」
「だが、樹上族の王、永明の神と呼ばれている
始まりのニューには誰も勝てなかった。」
始まりの?ニュー?どっかで聞いたことあるような。
「ほぉ、ほ、ほお、お主そこは何か知っているようじゃな。」
「ああ、何か聞いたことがある。ただよく分からん。」
「まあ良い、では戻るとするか。」
もしこいつが知っているなら、
「最後に聞きたいことがあるんだが、」
「なんだ?」
「ニュー一人じゃ空は飛べないだろ?じゃあ、誰が運んだんだ?」
「知らんな。」
「そうか。」
「あー、出てきたぁ!ゼータくん。」
リクが嬉しそうにしていた。
時計は5時を指していた。
「もう帰らないとダメじゃない?」
リクがの母親が聞いてくる。
「ああそうだ、我輩、ちょっと買い物任されてたの忘れてた。」
「あらそうなの?」
「お邪魔した。さらばだ!」
リクの家から出た。
嘘を付いたのは今日が初めてだった。
我輩のことを舐めてるとは思ったが、案外我輩も子どもだったか。いや、魔力が足りないから仕方ないのだ。そうだ。そうだ。
背中がゾワっとした。もしかして、アイツ危ないんじゃ…。
ゼータは、急いで向かった。
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