第10話 騎士認定試験

遂に来た。この日が騎士認定試験の日が。

「今回こそは、行けるよな。」

内なる暗黒竜に話しかける。

『当たり前に決まっておる。この我輩が鍛えたのだからな。まあでも、年2回じゃから落ちても…』

ゼータは、そんなことを言っているが、今回合格しないと自分がダメになる気がする。

秘策、と言っていたがゼータのやつ何考えてんだ?

まさか、カンニングか?いや、こいつも魔術監督官がいることを知っているはずだ。

『ん?我輩と代われ。』

ゼータが急に何か言い出した。

「なんだと?」

『だから、我輩と変われって。』

ゼータに変わっても筆記試験が合格できるのか?いや任せてられない。

『もういい、寝てろ!』

そこで意識が…


『筆記試験は、終わったぞ。』

「え?」

ゼータは、幽霊のようになりながら何気なく話しかける。

『我輩がやっといた。』

「え?」

『だからやっといたと言っておるだろう。』

どうやらゼータは、この前の本屋での魔法での記憶で解いたらしい。

今は14時半頃、ということは、

「もうすぐ実技試験じゃん!」

『そうだ、我輩疲れたから休むわ』

ゼータは、身体の中に再び戻っていった。

実技試験は、コロシアムで行われ、剣術の型、対人戦、対 怪物モンスター戦で、ブリング王国の三割が騎士志望であり、その中から1000人程度だけが騎士になれる。

「出場選手は出てください!ってわぁ!」

「うわぁ!」

俺は驚いた。角から騎士認定試験の試験監督の女性が出てきたのだ。

「ごめんなさい。ぶつかってしまって。」

「いえ、前見れてなかった気がするので僕が悪いです。」

そんな会話をして、会場に出た。


「続いてはユニス・ワルードです。種目は剣技で型は、インブレードです。」

剣技は、無難な型である、インブレードを選び、って、身体が急に動いて、

『来る。化獣クリーチャーが来る。』

ゼータが急に声を上げた。

「え?クリーチャー?」

声が出てしまった。審査員の冷たい目が俺の失態を刺す。

「…クリーチャーってなんだ。」

化物モンスターの上位存在だ。我の魔力に誘われているんだ。』

だとしたら、コロシアムである民衆を喰らい尽くす可能性も、

『大いにあるだろうな。』

俺だけじゃ倒せない。しかも今来たら観客が被害を被る。

『行くぞユニス、我輩に、体の主導権を渡せ。』

「いや、お前の力を貸せ。」

『は?はぁ、実はお前に言わなきゃいけないことなんだが、お前が心の中で我輩を、承認しないと、我輩はお前の身体を使えんのじゃ。』

「じゃあ半分承認してやる。」

『そんなこと出来るわけう、うわぁぁぁぁあああ!!!』

俺たちは、光に包まれて。

髪が伸びた?銀髪の毛だけが伸びている邪魔だなぁ。

「『なんじゃこりゃぁぁぁあああ!』」

尻尾生えてるし、角は触って見た感じ無さそうだけど、我々としては。

「『我々?ワレワレってなんじゃいこれ!』」

どうやらゼータとユニスは、同体してしまっている。

足音が聞こえる。すごく遠くだが海の方から。

「あの、何をしているのです?魔法を使っているなら失格ですよ。」

試験官が凄い見てくるが、逃げることを伝えるしかない。

『今回落ちるのは、我輩の所為だ。それでもいいか。』

「構わない。お前となら勝てる。」

『ふっ、当たり前だ。我輩は、星ではなく世界を滅ぼす龍だぞ。』

『「闇魔法、第二魔法、心眼共鳴コルディス・コード」』

観衆と意識を共有させて、言う。

「『逃げろ!』」

「「「うわぁぁあ!」」」

観衆と試験官達が驚き焦っている。

『「来い、我々の聖剣よ!」』

勝手に俺にゼータが話させている。聖剣?あれ?青い空からゆっくり回転して迫ってね?

空中に浮遊している黄金に輝いている聖剣ヴィンクスを掴むと、紫色の光に変色した。

『行くか、』「ああ、倒すか。」

我々は、飛び上がって空中に停止して化獣ヤツを探す。

正直、この溢れ出る力に魅力を感じる。だがそんな余裕はない。

巨大なリザードのような何かが、地面を這いずっている。

『…この世にはないワニという動物に似ているな。』「ワニ?」

俺はゼータに質問する。

「『まあ、いいどっちにせよ討伐するだけだ。!』」

我々は、無駄に格好つけて回転斬りをした。

「ヴゥゥオオォォォオオ!」

化獣ワニとか言うやつは、真っ二つに千切れた。

そこで全身の力が入らなくなった。意識が遠くなった。

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