第2話 我輩の散歩

っ、たく、手間取らせよって。あの人間ザコ巫山戯んな、我輩辛いのだが、こんな容姿幼い人間みたいになっちまってなぁ、って


「っ!!!。」


世界樹のユグドルフは、人間の街と買い被っていたが、これは…


そこには、獣人族 ビーストや、小人族ドワーフ森精族エルフも、暮らしていた。


「我輩の、世界だ。我輩の目指した。世界!」


人間が暮らす世界という悪なる世界を壊すためだったのに、それだけだったのに。


「ねえねえ、どうしたの?」


目の前にちっこい男のガキが立っていた。


「邪魔だ。どけ。」


我輩がそう言うと ガキが泣き出した。


「ぐ、…ぐふ、うぇー!!!!ん。」

「いや、泣くな。男だろ。」


なんだコイツ、我輩は、この我輩の理想郷に感動させられる。


「ねえあの子、いじめてる。」


近くから声がする。

「え?」

「お金ないのかなぁ。」「いやいや、あれで金巻き上げるんでしょ。」「あの子可哀想だね。」 「え?」


冷や汗がする。こんな奴ら燃やしてしまえばいいのだがこんな姿だと無理だ。


「あ、あの…」


あのガキが話しかけてきた。


「とりあえず逃げるぞ。」


男のガキの手を引っ張って物陰に隠れた。


「な、なんだ…。」

「だ…大丈夫?」

「だ、大丈夫に決まっておろう。」

「そう…なの、でもお腹すいてない?」

「え?」

「だって、お姉ちゃん、お胸ないよ。」


こ、こいつ…完全に舐めてる。


「我輩は、男じゃあ!!!」

「だ、だって…そんな髪長いいな男の子いよ。」

「いるだろ、森精族エルフとか。」

「あっ…そうだね。」


しばらく沈黙が続く。


「ねえ、良かったら俺の家行かない?」

「え?」

「あのさ、父さんが料理屋さんなんだけど行かない?」

「我輩、腹は減っとら…」


ぐぅー…。


「やっぱりお腹すいてるじゃん。」

「し、仕方ない。何処じゃ…その、料理屋とやらは、」

「えへへ、こっちだよ。」

「あ、お前、名前は?」

「リクだよ。」

「我輩は、ゼータだ。」

「ふーん。」


ゼータはリクに、ついて行った。

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