神仏の存在から流れる、荘厳たる世界に乗って

神話が好きなひとにも、そうでないひとにもぜひ読んでもらいたい一作です。

きっと、インド神話が基なのだろうと思いますが、その上に練られる荘厳で、なお流麗な世界には脱帽です。

さて、ここまで書いたところで、仏教や神話に興味があり、知識もあるひとでないと読めない、と勘違いされては困ります。

これは、確かに作者さまの豊富な知識と、巧みな表現力により構成された硬派な物語ではあります。

ですが!

今頃流行りのライトノベル系とは異なる魅力を孕んでいることを忘れてはいけません。

ライトノベルは、固定化された世界観のなかでヨーロッパ系の人々が住んでいる……みたいなイメージがあります。

ですが、これは違います。

神々の名が出てくるたびに「このひとはどんな神さまなのだろう?」と調べ、納得し、次へと進む。

このプロセスが、小説や物語には必須なように感じます。

ぜひ、時間があるときにゆっくりと堪能してほしい一作です。

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