痛みを味方に生きるだけ

本文中に、こういう表現がある。
『私は最初から生きてなんてなかった。死んでなかっただけなんだ。』

序盤、夜に溶け込もうと生きる主人公が、夜明けを恐れるとある少女がこの言葉を胸内でつぶやく。

そうして「死ぬ」ことではなく、「死んだあと」のことを考えてビルから飛び降りる――それが、この物語のはじまりである。


少女がどんな思いで「死ぬ」のか、そしてどんな思いで「生きる」のか。

ダークでありながら、けれども恐怖に似て非なる希望を持って進む少女の一歩を、ぜひとも見届けてほしい。