正しくなんかない君の愛へ

作者 センセイ

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★★★ Excellent!!!

もう、文句の付けようが無い名作でしょう。読み終えた今、溺れる様な感傷に浸っています。

特筆すべきは、その心理描写で、最初の方こそ主人公とヒロインの両名の異質さに置いていかれましたが、その特異な家庭環境やそうして辿り着く人間性を垣間見えて、次第に感情が移入して行きます。

親の無関心によって、依存を求めた少年。親の過保護によって、生き方を縛られた少女。ドロドロと吐き気を催す醜い家庭環境から生まれる心理ドラマ。弱い子供達の、それでも踠き、正しく無いと分かっていながらも、愛を育み、幸せを掴んでいくお話。


名作のドラマなどで良くある、命の重みを感じさせる様な作品でした。とても、読む価値のある作品であると推せます。是非、このレビューを読んでくださったあなたも、この作品を読んで見ませんか?



★★★ Excellent!!!

ただ、興味が湧いたと言うだけだった”その人”への思い。でも、少しずつ、着実に引き込まれていく。彼女にそれがわかってもらえなかったとしても。愛する人のためだったら彼女以外(自分も含めて)はどうなったって構わない。
そこまで彼女に執着する主人公の純愛と、周りの人々の心情にも丁寧な描写がされており、とても完成度が高く、作り込みの細かな作品です。それこそ、もはやこれは二人の歩むラブコメではなく、少年と少女、そしてその周りを取り巻く人々の群像劇と言えるのではないかと言うレベルに。そしてそれが72話にまとまり切っているのが凄すぎます!
また自分は、今話題のアニメ、推しの子のedに使用されている、女王蜂のメフィストを先日聞いた時に真っ先にこの小説の事が思い出されました。それほどまでに深く印象を受けた作品です。(この機会にレビューを1から書き直したほどです。)
ともかく、語り尽くす事がまず不可能なレベルに、深い作品です。まずは読んでみてください。止まらなくなる事、間違いなしです!

★★★ Excellent!!!

まず、僕は物凄く引き込まれて、そして読み応えもあってとても面白かったと言えます。
ただ、物語を読み終えた今でも万人受けするかの自信はないです、でもお勧めしたいと思う、そんな不思議な雰囲気を持っています。

大きく四部構成になっていますが区切りも良く構成も練られています。何より主人公の心情描写と、ヒロインの独特な描写が素晴らしい。

書籍化されても不思議では無い作品です。
暴力などのタグはあります。ても、読後感は良い事は保証します。

迷ってこのレビュー見られた方は、是非読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

小野寺しきは、平穏を好んでいた。
しかし、凪いだ水面に石が投げ入れられたかの如く、それはひとりの転校生、黒木れいによって乱された。

彼女は”異質”な人間だった。
そんな彼女のお世話係を、学級委員である彼は任された。
彼の想定の範疇を超えた彼女の行動は、彼を大きく困惑わせた。
それと同時に、彼は彼女に気付かぬうちに興味を抱いていた。

彼は、恋に落ちたのだ。
そんな気持ちを認めたくない彼は、ある意味己が原因で、己の好む平穏を破壊してしまった。

物語の最序盤に記された彼の描写。
彼女の”異質”さ。

これからいったい、どんな話が展開されていくのだろうか。
気になった方は、読んでみては如何でしょうか。

★★★ Excellent!!!

 特異なヒロインを好きになってしまった主人公、彼の愛し方はとても一途です。でも、正常ではありません。

 番外編を挟んだ三章構成の作品です。

 第一章で主人公が学園で彼女と出会い、第二章で二人は逃げ出し、答えを出しました。

 愛情を理解できないヒロインに、主人公が自分を捧げます。彼女の境遇を知る主人公、彼女の家族から追い詰められ、行き場を失う二人。二章後半の田舎暮らしは、それまでのハードな展開とは印象の違う、とても切ないエピソードでした。

 番外編は、九人の人物が自分語りをするのですが、ヒロインの母と父のパートはとても印象深い内容でした。

 第三章は、主人公視点とヒロイン視点の両面から話が展開されますが、どちらの視点なのか、とても分かり易く工夫されていました。

 この三章で二人は再会し、愛を再生しますが、ここでも二人は大きな決断をします。その行く末を見届けてみませんか?

 きっと、今まで読んだことのない、激しく切ない恋愛小説だと思います。最後まで読み切って欲しい作品です。

★★★ Excellent!!!

家族と上手くいかず、友達とも上手くいかず、心が崩れかけた主人公のしきとれいの出会い。
二人は惹かれ合い、二人だけの世界を求めますが……やはり生きるとはそんなに上手くはいかないもの。様々な出来事が二人に立ち塞がります。

でも、二人は幸せになる。
崩れかけていたからこそ、二人は真実の愛を知る事になります。

高校一年生のまだまだ幼い二人の成長と愛の物語。面白いです!

★★★ Excellent!!!

可憐な転校生にドキマギして驚いたり、不思議がったり…始まりは、平穏な青春物語の断章にも見えます。

しかし、歪んだ愛のフォルムが徐々に輪郭を成し、読者はただならぬ気配を察知することでしょう。二人の心は平穏とは程遠いものだったのです。

学校、家族、環境。真っ直ぐな心には酷く歪んで見え、到底、受け入れられるものではありません。

断崖は、愛の在処と外の世界の端境を象徴するものです。一歩踏み出した先には何があるのか? 

気の迷いでも、蛮勇でも、ましてや愛の絆を確かめる為でもなく…その先で、差し伸ばした手はしっかりと掴み取ります。限りなく純粋で、豊穣で、芳しい、本当の愛のフォルム。歪んだ合わせ鏡に映ったものは、純粋で美しい愛の結晶…

是非、多くの方に賞味して頂きたい意欲作です。

★★★ Excellent!!!

僕は余り小説を読まない人間だが、芥川賞作品なら、少しは読む。
小山田浩子さんの「穴」のような、今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」の作品を読んでいる様な感覚に陥った。甘い高校生の男女のラブストーリーの少し異質な感覚の物語かと読み進めて行くうちに、とんでもない衝撃の世界に引きずり込まれる、このサイトにはランクがそれ程、上でない作品に、優れた作品が多く潜んでいる気がする。こんな衝撃的な作品が無料で読めるなら、読まない手は無いと思った。

★★★ Excellent!!!

冒頭で雰囲気だけ読んでブラバした方、戻ってきてください!

これ、最初で異物感があって胸がざらざらしますが、息をのむくらいの展開が待っているんです、ほら、戻ってきて!


優等生的なポジションを獲得していながら、ちょっとドライな心情をもつ「しき」。
そして、ある日彼のクラスにやってきた『日常』に馴染まない美少女「れい」。

彼らの歪んで、切なくて、でも読んでいる側からするとぞわっとするような、不快感のある愛のカタチ。

彼らが下す決断に、やはりな……とため息がもれつつ、でも彼らの、胸を裂かれんばかりの愛の形に今生きている世界を見直すきっかけをもらう、一作です。

先のレビューの方もおっしゃっていましたように、これはまぎれもなくなかなかの問題作です。

けれども彼らに魅せされる世界は、きっと誰もが見たことがある『日常』。でもきっと『日常ではない』。

その曖昧な掛け違いからなる違和感の数々に、ぜひ魅了されてくださいませ!

★★★ Excellent!!!

主人公れいちゃんの暴力的なモノは、恐らく親から受けた事をそのまま、しき、にやっているんだろうな?と思いました。ただただ切なく悲しい。結末はようやく、れいちゃんがしきくんを(そんなに大事に思ってたのね!)と思わせる場面も…。

これは良い意味での問題作だと感じました✨個人的には好きです