壮大な現代の神話!

御仏の教えを流布すべく東方へと向かう毘沙門天の一大戦記。
時間の流れが雄大で、神々と仏の思惑が様々にぶつかり合う様が歴史の流れに合わせて語られる。時には大地を焼き尽くすほどの激しい闘いも描かれ、その様子は、猛々しさを迫力いっぱいに描写しながらも映画のワンシーンのように美しい。しかし文体は極めて軽やかで、優しく流れるように物語が進んで行く。
ときとして毘沙門の可愛いらしくコミカルな側面や家族の絆も描かれ、読み進むうちに様々に表情を変える毘沙門の虜になる。
仏教の歴史を知る人ならば歴史的な背景や伝説を思い出しながら楽しめるし、知らなくても(私はこちら)毘沙門の布教クエストとして楽しめる。
神話やファンタジー好きな人ならお勧めだし、そうでなくてもぜひ読んで欲しい一作だ。

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