世界渡りの占い師は NPCなので世界を救わない

　まだ途中までしか読んでいませんが、静かで優しい雰囲気が好きな作品。
　丁寧でありながら冗長にならないよう端的にキャラクターの心理を掘り下げていけるのは本当に凄い。

要素だけを抜き出すと割とありがちなヒューマンドラマものでご都合主義ともとれるが、筆者の筆力がそれを受け入れられる世界を読み手に提供してくれている。
一方的な押しつけではなく悪意の存在も描写され、しかし過剰に善も悪も装飾されずいい意味で「リアル」な感情の動きが情緒をえぐってきて二章読了時辺りで読み手の情緒がバグる。

時系列が少し入り組んではいるが恐らく作者の意図した演出なのでとりあえず読み進めればちゃんと繋がるので安心して欲しい。

日頃の人間関係に疲れた方、パワーゴリラ転生物（これはこれで良いものだが）、ちょっと重いものを読みすぎた時に読むと風邪ひいた時の素うどんのようにつるっと読める良い…続きを読む

オンラインゲームの片隅で占い師を営む女性主人公と、彼女が占った様々な人々のその後を描くヒューマンドラマ作品です。

ゲーム内の、それもプレイヤーの占い師に惹かれるのだから、彼女の下に集まるお客は複雑な悩みを抱えています。

そんなお客様を導くのは三枚のタロットカード。過去、現在、未来を見通し、与えられていく助言は、不思議と彼らの心に澄み渡っていく。

人々の暖かさを再認識出来る、オススメの作品です。

ゲームの楽しみとはなんだろうか。
ボードゲーム、レースゲーム、カードゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム。
種類は数あれど相手に勝つもしくは謎を解くというのが殆どのゲームで採用されているテーマだ。その過程で自分が強くなっていくところに楽しみを覚えるシステムもある。

本作の主人公コヒナちゃんはそのテーマを真っ向から否定し──いや否定はしていない無視だ──相手に勝つことも謎を解くこともせず、他キャラとの掛け合いを楽しみにしている
なぜなら彼女はNPCでありたいから。
NPCとは本来プレイヤーがそうしないキャラなので、論理的にはプレイヤーが存在するコヒナち…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（1138文字）

物語の主な舞台は、エターナルリリックというオンラインゲーム。
主人公コヒナは、モンスターとは戦わず、占い師としてお店を出しています。
そこへ訪れるのは、実生活やゲーム上で悩みを抱えるプレイヤーたち。
コヒナは占いによって、彼らを導き、確かな絆を紡いでいきます。

このコヒナさんが、おっとりしていてどこかコミカルで、とても愛らしいキャラクターなのです！
コヒナさんが提供するのはあくまでも占いですから、それぞれの問題を解決するのはお客さん自身。
けれどコヒナさんの人柄と、確かな占いの腕前によって、皆自らの道を見い出し、歩んでいきます。

私は占いに明るくありませんが、作者様の解説が素晴らしくて、…続きを読む

ゲームの世界で占い師を目指す！？
一人じゃ無謀だけど、一つ一つ繋いだ縁と手を繋いでいく。
仮想でもリアルでも、関係性は希薄である。
しかし、たった一つの占いのアドバイスが、ディスプレイを超えて、顔も知らない〝あの人〟と繋がるんです！

この作品は題材で占いという部分がピックアップされています。
当然、物語の中に占いが出てきますが、占いがメインというわけではりません。

占いを受けたひとりひとりが過去や現在のことを考える。
日常で忘れ去られたことや捨ててしまったことを思い出すきっかけを与えてくれます。

人にとっては些細なことでも当事者にとっては大切なことだと教えてくれる物語です。

是非、読んでみて下さい。

　琴羽様の作品「世界渡りの占い師は、NPCなので世界を救わない」を読ませていただきました。

　テーマはタイトルの通り「占い」です。

　物語の主人公は「占い師」のコヒナちゃん（種族：エルフ）。様々なゲームで占い師として活動する彼女のプレイスタイルは、徹底した「占い師」としてのロールプレイ。いわゆる「縛りプレイ」です。

　占いって、本質的に不安定で、とても不確かなものですよね。コヒナちゃんは、そんな占いの結果をもとに、誰かの背を押すのでもなく、引くのでもなく、ただそっと手を添えてくれます。
　
　そしてそれが、物語に登場するプレイヤー達にとって、何より強く心に響きます。
　
　一話読み終え…続きを読む