読んでいる方もちょっとだけ歩きたくなる素敵な物語

ゲームの楽しみとはなんだろうか。
ボードゲーム、レースゲーム、カードゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム。
種類は数あれど相手に勝つもしくは謎を解くというのが殆どのゲームで採用されているテーマだ。その過程で自分が強くなっていくところに楽しみを覚えるシステムもある。

本作の主人公コヒナちゃんはそのテーマを真っ向から否定し──いや否定はしていない無視だ──相手に勝つことも謎を解くこともせず、他キャラとの掛け合いを楽しみにしている
なぜなら彼女はNPCでありたいから。
NPCとは本来プレイヤーがそうしないキャラなので、論理的にはプレイヤーが存在するコヒナちゃんは矛盾するのだが、それでもNPCでいたいのだ。
彼女では魔王やドラゴンを倒すことが目的ではなく、街で占いをすることこそが彼女の楽しみなのだ。
ひょんなことから知り合うキャラ達の占いをしその結果から、結果的に助言となるアドバイスをすることで、他キャラを操作する実世界のプレイヤーは救われる、という程大袈裟ではないがほんの少しだけ背中を押されてまた歩みを始めている。


壮大なストーリーはないし強敵との戦闘のときもなんか気が抜ける戦いだったり、登場するキャラもちょっと変な人達だったり、でもすごく魅力的な人達だったり、読んでいるこっちもちょっとだけ歩きたくなるそんな素敵な作品です。

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