少年期編

第14話 期待外れ

前回のあらすじ


ユラはいい人


~~~~~~~~


「ハクトー。迎えに来てやったぞー。」


「今行くよ。」


迎えに来たユラに返事をする。

初めてユラと組手をした日から2年と半年が経ち、僕は10歳になった。今日はステイタスを授かる為に教会に行く日だ。ユラは護衛として僕についてきてくれる。この世界の人にとってはとても重要な日だが、僕は普段から自分のステイタスを見ているのでそれほど楽しみではない。


ちなみに今の僕のステイタスが


名前:ハクト・キングス・リンガル

種族:人族

年齢:10


Lv:0


【体力】:450/450

【魔力】:800/800


【物攻】:250

【物防】:235

【魔攻】:290

【魔防】:240

【敏捷】:295


【魔法適性】:全


【魔法スキル】

・火魔法Lv3

・風魔法Lv3


【スキル】

・剣術Lv5

・格闘術Lv4

・身体強化 Lv6

・魔力操作 Lv7

・魔力回復量上昇 Lv5


【エクストラスキル】


【ギフトスキル】

・鑑定

・インベントリ

・成長促進


新たに会得したスキルは格闘術。それと魔法スキルとして、火魔法と風魔法を覚えた。いずれもユラに教わって会得したスキルだ。

ちなみにユラ曰く


「お前がLv0だと言っても誰も信じねぇぞ。」


だそうだ。

Lvは魔物を倒すと上がる。一説には、魔物を倒した際にその魔物の生命エネルギーを吸収し、Lvが上がると考えられている。より強い魔物ほどLvが上がりやすいため、生命エネルギーが関係しているのではと考えられている。


ユラと共に教会に来た僕は、一旦ユラと別れ、眼鏡をかけた真面目そうな男の神官に促されるままに神像の間に入り、祈りを捧げる。ちなみにこの神像、筋骨隆々でエネルギッシュなイメージを与える男の像だ。


(僕の知ってる神様はダンディなおじさんなんだけどなー。だけど、どことなくあのおじさんの面影がある気がする。)


なんて考えていると、神像の後ろにあるステンドグラスから眩い光が放たれた。これは前世の小説でよくあった、神様の世界に意識が飛ばされる展開なのでは。


(まずは時間制限があることを黙ってたことを問い詰めてやろう。)


僕は目を瞑り、神様に会ったら何を言おうか考える。

すると、声が聞こえてきた。


「お疲れ様でした。こちらへどうぞ。」


ん?


「こちらのプレートに触れていただき、ステイタスが授けられたことを確認していただくことで、ステイタス授与の儀式は終了となります。」


あれ?


「あのー。1つ聞いてもいいですか?」


「はい。どうぞ。」


「さっき神々しい光が刺した気がしたんですけど、あれってなんだったんですか?」


「あぁ!あれですか!実はですね!この教会は立地の関係で、正午になった瞬間に神像の後ろにあるステンドグラスに日光が差し込むようになっているんですよ!それというのもですね、この教会が建築される際に当時の神官長様が職人と共同で設計されたもので、私も初めてこの話を聞いた時はもう、心を打たれましてですね!。これほどまでに神像を引き立てられる設計をされた神官長様のなんと素晴らしい...」


どうやら薮から蛇をつついてしまったようだ。熱い思いを語る神官の話を聞き流しながら僕は思った。


(紛らわしいことしないでよ!思いっきり勘違いしちゃったじゃんか!)


特にイベントがないならもうここに用はないので、僕はさっさと儀式を終わらせるためステイタスの確認をすることにした。ユラも待たせてるしね。熱く語る神官をなだめ、プレートに触れてステイタスが授かったことを確認する。


「先程は大変失礼致しました!」


「いえ、気にしないでください。」


我に戻った神官が僕に謝罪をしてきた。僕がそれを許すと、神官は


「ステイタスが授与されたことは確認されましたか?」


「はい。問題なく確認できました。」


「それでは儀式は以上となります。最後に、ステイタスは個人情報の塊ですので、他人に明かされないようご注意ください。」


「分かりました。ありがとうございます。」


僕は神官に見送られて神像の間を出る。そしてユラと合流し、教会を後にする。


「儀式はどうだったよ?」


「正直、来なくても良かった。」


それを聞いたユラは人目もはばからず大声をあげる。


「ハッハッハ!お前は本当に前代未聞の発言が得意だな!。語録を作れるレベルだぞ。」


「僕が自分のステイタス見れるの知ってるでしょ!なら、必要ないって感想になっても仕方ないと思わない?」


僕はユラと訓練する中で、ステイタスを見れることを話した。その方が訓練の効率がいいからね。


「まぁなー。でもせっかくの儀式なんだから受けておいて良かったと、俺は思うぜ。」


「まぁ...そうだけどさ。」


確かに人生に1回しか機会がない儀式なので、受けれたのは良かったと思うけど...正直かなり事務的に感じた。


「それで、どうする?」


「もちろんこれからすぐに行くよ!」


ユラの問いかけに僕は即答する。


「お前ならそう言うと思ったぜ。」


「僕もユラがそれを言うと思ってたよ。」


そう言って僕らは笑い合う。


「じゃあ行くか!」


「うん!行こう!」


「「冒険者ギルドへ!」」



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