幼少期編

第5話 異世界での生活

前回のあらすじ


時間制限あるなら言って?


~~~~~~~~


「ハクト様。そろそろ起床されないと、朝食に遅れますよ。」


「……分かった。今起きるよ。」


僕は侍女であるイザミナに起こされる。

必死に起き上がろうとするのだが、王族用のベッドはフカフカの綿で僕を包み込み、離してくれない。


「……ハクト様?」


「はい!すぐに起きます!」


イザミナを怒らせると長いお説教が待っているため、ベッドの魔の手を振り払い、起床する。鮮やかに輝く銀髪が目にかかる。


「ハクト様はもう少し王族としての自覚をお持ちなってください。先日の6歳の誕生日の際の凛々しいお姿はどこにいってしまわれたのでしょうか...。」


「ハハハ.....気をつけるよ...」


そう、僕がウェイストに転生してから6年が経った。神様のおじさんとの衝撃的な別れの後、僕は母親の腕の中で目覚めた。それから6年、僕は健やかに育っている。


「ハクト!おはよう!いい朝ね!」


「シェリア姉様おはようございます。」


僕が身支度を整え朝食を摂るために食堂へ向かっていると、2歳年上の姉である、シェリア姉様に捕まった。シェリア姉様も僕と同じ銀髪で、お母様によく似た美人の片鱗がすでに見え始めている。


「ハクトは今日から剣の稽古が始まるのよね!」


「はい!兄上が家庭教師の方を用意してくださいまして、本日より稽古に励みます!」


リンガル王国では6歳を幼子の一区切りとしている。6歳になった子供は大人になる準備のために、自分が希望する武具を扱う訓練を受ける伝統がある。これは代々強い力をもって国を統治してきた王家を見習い伝統となったものだ。なので、もちろん王族である僕も訓練を受けることになったのだ。この伝統を知ってから、ずっとこの時を楽しみにしていた。


「大丈夫?緊張してない?」


「はい!むしろ楽しみでワクワクしてます!」


シェリア姉様との会話を楽しみながら歩いていると、食堂の扉が見えてきた。王族が食事をするだけあって、とても豪華な食堂となっており、初めて来た時には驚いた。

食堂に入ると、僕とシェリア姉様以外の家族がすでに揃っており、僕達も急ぎ足で席に着く。すると現王であり、僕の実兄であるカイセル兄様が号令をとる。


「それでは食事を始めよう。」


それを合図に食事が始まる。一緒に食事を摂っているのはお父様とお母様、カイセル兄様とシェリア姉様と僕の5人だ。基本的に食事中は会話をすることはない。


食事も終わり僕は、座学の準備をする。この世界では1週間は7日、1ヶ月は4週間、1年は12ヶ月で出来ている。曜日の分け方は日本と同じで、日・月・火・水・木・金・土となっており、非常に覚えやすかった。不自然さを感じるが決まっていることなので仕方がない。

1週間のうち、僕は月・火・木・土の日の午前中に家庭教師の先生からこの世界のことについて学んでいる。貴族の子息は武具の訓練と同時に6歳から教育を受けることが多いが、僕は自ら希望して、5歳の時から教育を受けている。これからは同じ曜日の午後に剣の稽古が入ることになるね。僕としてはもっと高い頻度で学びたいのだが、子供の体を気遣ったスケジュールを組んでいるそうだ。


午前中の座学をこなし昼食を食べた後、僕は剣の稽古の準備をする。といっても、剣や道具はすでに準備されているので、僕は動きやすい服装に着替えるだけだ。この世界に来てから読んだ本によれば武具の訓練をすれば、その武具を扱うスキルが取得できるようだ。なので僕は剣術スキルの取得を目標としている。


ちなみに今の僕のステイタスはこんな感じ


名前:ハクト・キングス・ルーベスト・リンガル

種族:人族

年齢:6


Lv:0


【体力】:15/15

【魔力】:70/70


【物攻】:7

【物防】:5

【魔攻】:20

【魔防】:5

【敏捷】:6


【魔法適性】:全


【スキル】

・身体強化 Lv1

・魔力操作 Lv3

・魔力回復量上昇 Lv3


【エクストラスキル】


【ギフトスキル】

・鑑定

・インベントリ

・成長促進


ハクトが名前で、キングスが王家の家名、ルーベストが治めている領地の名前だ。王族のみリンガルの名を授かる。スキルについてだが、生まれてから数ヶ月の間体を動かすこともできず、やきもきしていたところ胸の辺りに違和感を感じ、意識を集中すると魔力を感じることが出来た。それ以来、色々と試していると、魔力操作と魔力回復量上昇を取得していた。魔力を放出し過ぎて、気絶することもあったりした。魔力の放出を限界までしていると、魔力の数値が伸びていった。これは少し期待していたことだったので、実際に伸びた時は嬉しかった。放出した魔力を全身に纏ったところ、あっさりと身体強化のスキルを取得できた。成長チートの影響なのかな?


準備を整え、イザミナを伴い王城の敷地内の庭に移動する。王城にはそれはそれは大きな庭があり、その中には訓練できるほど広いスペースがあるので、そこで訓練を受けることになっている。


僕が庭に着くと、一人の男が待っていた。

身長180cmほどで、輝く赤髪を短く切りそろえ、少しチャラついた印象を与える細身の男だった。


「あんたがハクトか?」


僕の後ろでイザミナの纏う空気が変わったのを感じる。

これは一波乱ありそうだなぁ。







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