第4話 おじさんの熱い一面

前回のあらすじ


おじさんに裸を見られるのはきつい


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いい加減に裸でいるのが辛くなってきたが、おじさんの説明はまだ続くらしい。


「心配しなくてもお主の体はなかなかに鍛えられておるから立派なものじゃぞ。」


「それは素直にありがとうございます。」


昔から筋トレと読書が趣味でずっと続けてきていたので、神様に褒められるとさすがに嬉しくなる。


「それではスキルについてじゃが、スキルとは経験を積むことによって取得することが出来るものじゃ。取得すると行動に補正がかかるもの、使用することを意識すると発動するものの二種類がある。それぞれのスキルにLvがありこれも1が最低で9が最高だ。これは7で達人レベルという認識で良いぞ。」


これについては予想通りだな。種類についてはパッシブとアクティブがあるということだろう。


「スキルにはエクストラという段階がある。これは経験もそうじゃが、特別な条件をクリアすることが必要じゃ。その分、エクストラスキルは強力なものが多い。お主も取得を目指してみるんじゃな。」


「特別な条件とは具体的になんでしょうか?」


「それぞれに違いがあるから具体的には答えられんのぉ。」


なるほど、それについても自分で探っていく必要がありそうだな。せっかくならエクストラスキルも取得したいし。


「それで、お主に与えるスキルじゃが、いずれもお主以外に所有するものはおらん、特別なスキルじゃ。扱いには注意せよ。まず一つ目にインベントリというスキルじゃ。簡単に説明すると、別次元にお主専用の空間を用意し、そこに物を出し入れすることが出来る。」


定番だけど、めちゃくちゃ有用なスキルだね。


「二つ目に成長促進というスキルじゃ。このスキルを持っておれば、強く、早く成長することが出来る。Lvもそうじゃが、スキル、ステイタスにも影響を与える優れものじゃ。」


(おぉー。成長チートだ!これは筋トレのしがいがある!)


「今回お主に与えるスキルはこの二つで考えておる。」


·····あれ?僕が欲しかったあのスキルがない。


「なんじゃ?なにか不満な点があったか?」


「い、いえ。不満というほどでは無いのですが。」


「遠慮せずに言うてみい。」


「は、はい。そのー鑑定ようなスキルがあればなーと思いまして。」


「なぜ、鑑定スキルを望むのじゃ。」


「はい。僕は地球で筋トレをするのが趣味でして。というのもトレーニングをすると、筋肉として成果がみられるのが快感と言いますか、やりがいになっていて。ステイタスのある世界であれば、数字の伸びを見ながら成長するのを楽しみにしていたんです...」


「ふむ。鑑定はエクストラスキルにあるから自力で取得することが出来るのじゃが。……そうじゃな、お主には鑑定も授けよう。」


なんと、言ってみたら希望が通ってしまった。やっぱり言ってみるのは大事だね!


「希望があれば可能な限り叶えると言うたじゃろうに。」


おじさんは呆れたようにため息をついた。

そう言えばそんなことを言ってたような気がするが、おじさんの話が長すぎて抜けちゃってたんだよね。


「……それと、これらのスキルは生まれ持ってのものとする。儂から与える特別なスキル故に鑑定などでバレる心配もないしの。身体にも悪影響はないから問題ないじゃろ。」


当然のように僕の心の声はスルーされる。

そうして、おじさんの長い長い恩恵についての話は終わりが見えてきた。これまで、砕けた雰囲気で話していたおじさんは、一段と真剣な面持ちで力強く語りかけてくる。


「これから、お主はウェイストの世界で第二の人生を歩むことになる。儂からお主に望むことは一つ。ただ、悔いなく生きてくれ!地球でやり残したことを一つ残らずやり尽くすのじゃ!」


僕の心に直接語りかけてくるような真っ直ぐな瞳。それでいて、包み込むような優しさを感じさせる。

おじさん……やばい、ちょっと泣きそう。


「一筋縄では行かぬこともあるじゃろう!何せ地球とは文明も文化も異なっており、魔物と呼ばれる人類の天敵のような生き物が世界に蔓延っておる。」


おじさんは熱く語りかけてくれている。

ん?なんかめちゃくちゃ重要なことサラッと言わなかった?

あと、なんか僕の体が光り始めたんだけど?


「それでも、儂が気に入ったお主なら、きっと悔いなく生きているうちに世界に良い影響を与えてくれると儂は信じとる!」


うん、感動はしてるんだけど、さっきの魔物の件が気になるのと、自分が輝きすぎておじさんのことがほとんど見えないんだよね。


「珀斗よ、忘れるな!儂は本当にお主を気に入っており、いつでも見守っていr...」


だんだんとおじさんの声が遠のいていくような感覚に包まれる。

そこで僕の意識は閉ざされた。その時僕が思ったことは


(やっぱ時間制限あるんじゃねぇか!)















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