第8話 駄々をこねたくもなる

前回のあらすじ


剣を振るのって難しい


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突然ですが皆さん!僕は7歳になってしまいました。ユラに剣術の稽古を受け始めてから、1年が経ち、最近は動きを加えた素振りの練習をしており、日々が充実しております。ちなみに今の僕のステイタスがこちら、


名前:ハクト・キングス・リンガル

種族:人族

年齢:7


Lv:0


【体力】:50/50

【魔力】:150/150


【物攻】:35

【物防】:30

【魔攻】:35

【魔防】:25

【敏捷】:28


【魔法適性】:全


【スキル】

・剣術Lv2

・身体強化 Lv3

・魔力操作 Lv4

・魔力回復量上昇 Lv3


【エクストラスキル】


【ギフトスキル】

・鑑定

・インベントリ

・成長促進


筋トレを頑張った結果、物理方面のステイタスがかなり伸びてきていて、毎日魔力で遊んでいるからか、魔力方面もいい感じに伸びてる。そして、剣術のスキルを取得し、さらにLv2になっている。素振りしかしてないのにLvが上がったのはたぶん恩恵のおかげなんだろうなぁ。最近ではユラに


「ハクトはステイタスを授かれば、すぐに剣術スキルを取得できるぞ。」


なんて言われてるけど、もう取得した上にLv2なんだよね。言ってないけど。

こんなに充実した生活が送れるなんて、異世界は最


「ハクト様。」


こんなに充実した生活が送れるなんて異世


「ハクト様。まもなく交流会の会場に向かうお時間です。」


こんなに充実した生


「ハクト様。次はありません。まもなく交流会の会場に向かうお時間です。ご準備を。」


「はい。すぐに準備します。」


あー憂鬱だ。


この国の貴族は7歳になると、顔合わせを目的とした交流会に参加しなければならない。同年代の子達に会えるのは嫌ではないし、むしろ楽しみなのだが、一つ問題がある。それは僕が王族だということ。当然、僕には貴族達の模範となるような振る舞いが求められる。普段から教育を受けているとはいえ、1日中気を張るのは憂鬱でしかない。


「ねぇイザミナー。どうしても行かなきゃダメ?」


「はい。絶対です。」


そんな憂鬱な時間を過ごすくらいなら、剣を振っていたい。それでも僕は行かなければ行かないらしい。


「気休めではありますが、ハクト様は王族であるため、恐らく貴族の方々がご挨拶に来られるはずです。その対応を実際にするのはカイセル国王陛下ですので、ハクト様はそれに合わせていればすぐに終わるかと。」


「ありがとうイザミナ。頑張ってみるよ.....」


そうして僕は豪華な馬車に乗り込み、交流会の会場に向かう。カイセル兄様は先に会場に向かっているそうだ。会場に近付くと、僕が乗っている馬車の他にも、何台もの馬車が見える。すると、僕を乗せた馬車が動きを止める。


「ハクト様。会場に到着しました。ここからは気を引き締めていただくよう、お願いいたします。」


イザミナにそう言われ、僕は気を引き締め直す。


「ああ。私もやる時はやるのだよ。」


「頼もしゅうごさいますね。」


この口調で話すのは、大人ぶっているようで恥ずかしい。こんなに尊大な態度をとっているのが7歳児というアンバランスさ。前世の記憶がある僕には少々くるものがある。それでもやらねばならんのだ!

僕は堂々とした態度で会場に入っていく。周囲からの視線が凄いが、僕は怯むことなく、無事に会場入りする。入口で係の人に王族の控え室へ案内される。


控え室ではカイセル兄様が待っていた。一際豪華な衣装に身を包み、書類に目を通している。


「ハクト。よく来たな。そこに腰かけるといい。」


そう言ってカイセル兄様の正面の席を示される。


「はい。失礼します。」


僕が腰かけると、


「本日の交流会だが、お前は俺のそばにいるだけ

でいい。貴族達の相手は私が受け持つ。」


「はい。分かりました。」


正直僕は、カイセル兄様があまり得意でない。普段、食事などで顔を合わせることはあっても話すことは滅多にない上、業務的な会話がほとんどだから、カイセル兄様の人柄が分からない。その上、表情からも考えを読めないため、なんとなく苦手意識がある。


「お前は挨拶をした後、話に入らずに質問などに答えるだけでよい。後のことは余にまかせよ。」


あまりにも淡々と告げれる言葉に、僕はお荷物だと思われているのだろうか、と考えてしまう。


「はい。分かりました。」


あー。早く終わらないかなー。



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