勉強会と称してデート(思い込み)
今日はいつもより早く目が覚めた。いつも6時に目を覚まして、朝食をコンビニで買って行くのだが、今日は5時半に起きてしまった。
だいたい親父が家を出るのが6時少し前、だから、迂闊に家の中を歩き回れない。
朝の親父は機嫌が悪いことが多い。酔うと暴言を吐いてくるが、機嫌が悪いと拳が飛んでくる。そんな生活をすごしてきた俺は、6時まで部屋でじっとしとくのが得策だと判断した。
親父が家を出てから、いつも通りに登校する。朝早くから学校に行き、分からないところの復習をする。8時になれば皆が登校してきて、グループを作って会話を始める。
いつもと同じ学校の風景。いつもと同じ学校生活。ただひとつ違うことは、学校が終われば菅原と勉強会を、"菅原の家で"する。ということ。周りはいつも通りなのに俺だけソワソワしてることが、わかった。わかっていたけど治らなかった。
昼休みになって1人でコンビニで買ったご飯を食べる。食べ終わったらいつも、周りで話してる声を、窓の外みたり眠ってるフリをして聞いている。以外に面白い。今日は、恋バナをしてるらしかった。
「ねぇねぇ。隣のクラスの山田さん、彼氏の市川君と、山田さんの家で遊んだんだって。山田さんは、勉強してたって言うけど…」
「それってやっぱり、お家デートよね。」
「そうよね!私もそうと思ったのね。」
恋バナは基本聞き流す。俺には無縁だから。でも、今日の話だけは、聞き流せなかった。
"お家デート" その言葉が頭から離れなかった。
家で勉強をすると言うことは"デート"なのか。ということは…。今日俺は菅原とお家デートなのか!
昼休みが終わってから俺のソワソワは、午前に比べ酷くなっていた。
「「「さようなら〜。」」」
終礼が終わった。ソワソワしてる俺に菅原が、話しかけてくる。
「じゃあ、行こっか。」
「う、うん。」
少しキョドってる俺が、自分でもキモかった。
いつも通りの帰り道。でも今日はあの角を俺も曲がる。ただそれだけなのに、曲がり角までの道がとても遠く感じた。遠く感じたはずなのに、気づけば曲がり角に着いていた。
「今日は貴方もこっち!」
「お、おぅ。」
曲がり角を曲がった先は見たことあるのに、初めてくる世界みたいな間隔だった。
角を曲がって数分、菅原の家に着いた。正直でかかった。うちの3倍はでかかった。そうなんだ、6丁目は、豪邸が多いんだ。だから、豪邸だらけの道は世界が違うんだ。
「さ、入ろ?」
そう言って俺の手を引く菅原。ドキドキしながら菅原の家の玄関にたった。菅原が、ドアに手を伸ばそうとした時、ドアが内側からバッと、開けられた。
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