俺の気持ち

高校に入ってから、愛とは別のクラスになった。そして俺の周りには人が集まるようになった。


寮には入ることが出来なかった。ただでさえ金銭的余裕が無いのに、負担をかけることは出来なかった。


女子校だということもあって、男のように振る舞う俺が珍しいみたいだった。


俺は小学校で、似たような経験があった。その時はいじめに繋がったから、今回は虐められないか、正直いって怖かったし不安だった。


休み時間になれば、愛が来てくれた。愛は入学してからすぐに友達ができていた。その友達を差し置いて俺のとこに来てくれるのが嬉しかった。


違うクラスということもあって少しずつ俺の中で愛を占めていた部分が無くなっていった。


そんな時だった。俺の周りに集まっていた人の中の1人が、


「学校の中で女子同士で付き合い始めたらしいよ。」


そういったのだ。驚いてしまい、無視していたのに顔を上げてその子を見つめてしまった。


「し、知らなかった?」

「まじ?女同士で付き合ったりしてもいいの?」

「ダメってわけじゃないから、互いに好きならいいんじゃない。」

「そっか。そうだよな。」


俺はすぐに愛のことを考えた。


いやでも、愛が俺を好きなわけが無い。でも、好きかもしれない。


俺の中で色んな考えが浮かんでは沈んで行った。


その日は授業も頭に入らず、愛との帰り道での会話も曖昧な返事しかできなかった。


どうにかして、愛が俺の事を好きになったら、付き合えるかもしれない。その思いが、俺が蓋をしていた気持ちを引き出した。


次の日から、俺は愛に今までとは違う気持ちで接するようになった。あくまで、対応の仕方は変えずに、気持ちを多く伝えるようにした。


「愛は、可愛いもんなぁ。」


「愛は、なんでも出来てすごいよね。俺は愛のそういうところ好きだよ。」


「愛と、今度一緒に遊びたいな。」


愛はいつも通り接してくれた。いつも通りだけど、俺の気持ちが変わるだけでいつも通りでも嬉しかった。


そうして、気持ちを伝えるようになって1年と少し経った。

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