愛の告白

話は1番初めに戻る。


俺は今、夏休みの暑い日を、ダラダラと過ごしていた。そんな時


ピロン。


メールの着信の音がスマホから聞こえてきた。


『今からうちに来て宿題しない?』

『ごめん。俺もう宿題終わった。』

『早くない?wならさ、うちで遊ぼうよ。』

『いいよ。じゃあ30分ぐらいしたらそっち行くね。』


久しぶりに愛と遊ぶことになった。


汗をかいていたから、シャワーを浴びることにする。服を脱いで、風呂場に入る。


今はもう、膨らんだ自分の胸を見ても、苦しむことは無い。話し方は男っぽいままだけど、俺は男だと言う気持ちは少なくなった。


シャワーを浴びて着替える。まだスカートとかの女の子の服は、自ら着ることはない。勧められたりして着てみても、苦しむことは無くなった。


今日は愛に、1つだけ伝えたいことがある。だから、気合い入れでシャワーも浴びた。やっぱり…とやめたくなる自分がいるが、決めたことはやろうと思う。


服装を整えて家を出た。そして、結局愛の家に着く時には汗をかいているから、シャワーの意味なかったなと後悔した。


ピーンポーン…。


『はーい。』


ガチャ。


「ゆずちゃんじゃない!いらっしゃい。さ、暑いでしょ。入って入って。」

「おじゃまします。」

「愛ちゃんは部屋にいるから、じゃ、邪魔者は消えるね。」


ニッコリしながら居間に戻る愛のお母さん、自分で邪魔者っていうのは嫌じゃないのか。そういう疑問が出たが、あの人は、そういうの気にしない人だもんな。そう思い直した。


「入るぞ。」

「あ、来てたの!?ごめん!迎えに行けなかった。」

「いいよ。お母さんが出てくれたから。」


ベッドに寝っ転がって漫画を読んでいるにやけていた愛を見て、新しい一面を見てしまった、可愛い。すぐに頭の中に可愛いが出てくる事が少し恥ずかしい。はずかしくて、部屋に入ってから一時黙ってしまった。


「今日は何する?」


沈黙をカバーするように、愛が問いかける。


「また、ぐうたらするか?」

「それもいいね!でもね、今日柚子に言いたいことがあるんだよね。」


ドキッとした。俺もって言おうとしたけど、やめた。もしかしたらがあったから。


「な、なに?どうしたの?」

「あのね…、えっと…その。」

「なんでもじもじしてるの?」


両手を太ももで挟み込んで、座りながらくねくねしてる愛を見て吹き出しそうになった。可愛すぎる。


「あっ、えっとね。その、落ち着いて聞いて欲しいんだけどね。」

「うん。」

「私ね…。柚子のことが……きなの!」

「ん?ごめん。聞こえにくいところがあった。」


顔を真っ赤にして何かを伝えようとしてる愛。可愛いすぎないか?


「その、柚子ことが、好き!…なの。」

「……!?」

「あはは、可笑しいよね。ごめん。忘れて。」

「愛もなの?愛、俺のこと好きなの!?」

「えっ。うん。…好き。」


まさか両想いになれたなんて。


「いつから?いつから好きだったの?」

「柚子に最初に話しかけた時から。」


いつだ?中学3年の時に話しかけられた時か?


「えっ!?そんな前から?」

「う…うん。」

「俺も愛のこと好きだよ。俺は愛に勉強教えてもらい始めたぐらいからだけど、ずっと好きだった。いや、1回諦めた。でも高校で女子同士で付き合ってる人がいるって知って、俺でも愛と付き合えるかもしれないって思って、また好きになった。」

「柚子も、私の事…好きなの?」

「うん。そっか。両想いだったんだ。」

「嬉しい。」

「ならさ、俺も伝えたいことがあるんだけどさ、」

「うん。」

「俺と付き合ってくれない?俺は愛と一緒にいると楽しい。」

「はい!ありがとう!」


愛は、涙を零しながら笑った。それほど嬉しかったんだろう。


「愛は、覚えてる?」


泣いてる愛に問いかけた。


「…?」

「愛が俺に生きてくださいって言ったこと。」

「!?覚えてるよ!柚子こそ覚えてたの?」

「うん。忘れないよ。俺はあの言葉のおかげで生きてるもんだから。あの時俺は死にたかった。愛と話したくて学校に行ってたけど、やっぱり辛かったし、何より愛に隠し事が多かったりして、苦しかった。もうこんなに苦しいなら死のうと密かに思ってた時にいわれた言葉だった。」

「そうなんだ。あの時柚子の手首にリスカの痕があるの見つけて、死ぬほど思い悩んでるなら、助けてあげる!だから死なないでって意味でいってた。」

「結果的にそれが俺を今生かしてる。」

「そうだね。」

「ありがと。愛が生かしたようなこの命だから、これから愛のために、愛と一緒に生きていきたい。ダメかな?」

「いいの?私でいいの?」

「うん。愛がいい。」


その後は2人で泣きながら笑いあったり、一緒に漫画を読んだりした。


帰り道はずっとにやけていた。俺は愛と付き合い始めたんだ。そう思うと嬉しくて仕方がなかった。


そして俺は最後に向き合わなければ行けない問題へと意識を向けた。

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