高校後期試験
あれから、時々夜に愛と電話をするようになった。話すことがあるわけじゃないけど、世間話程度の話を良くしていた。
毎日勉強をしに行くのも変わっていない。変わったのはもうすぐ高校の後期試験があるということ。そしてそれに向けて必死に勉強をしていること。
先生も期末テストの結果を見て驚いていた。しかし、期末テストは、範囲が絞られているからと、先生が3年間の復習のテストを作ってくれた。
結果はまだ少し学力が足りないという結果だった。平均は80点。あと、10点はあげなきゃ行けない。それを知って俺はものすごい勉強に励むようになった。
家では部屋に籠って勉強をするだけになっていた。親父とは数ヶ月全く顔を合わせてない。生きていることは朝早くの家を出るドアの音で分かる。
いっその事死んでくれ。何度もそう思った。
愛への気持ちは、押し殺してしまった。もうそう感じることはしない。そう誓った。
「もうすぐ後期試験だね。」
「うん。もうすぐだ。」
「受かりそう?」
「分からない。でも愛のおかげでだいぶ自信はついてきてる。」
「そっか!なら、あともう少し、頑張ろ!」
「うん。」
その日から、後期試験に向けて最後の追い込みをした。
試験当日。緊張はしていた。でも、今までの全てを出し切ろうと思ってのぞんだ。やり切った感はあった。ただ受かったかどうかと言われると正直いって不安だ。
「受かるといいね。」
「そうだね。」
愛が言葉をかけてくるが、合格発表日に近づくにつれて不安になっていった。
合格発表日、高校の正門近くに張り出される合格者の番号を確認しに行った。俺は1256番。最後だ。だから1番最後を見ればいい。すぐ分かる。でも怖くてなかなか見れなかった。
5分程うなりながら首を振り、悶える。決心して、みた。
1256。あった。受かった。安心して腰を抜かしそうになった。
愛にすぐ連絡をいれる。受かったと。しかも奨学金制度の試験を、1位通過できたのだ。嬉しくて涙がこぼれそうだった。愛と同じ高校に通える。嬉しくてたまらなかった。
そう、俺は"桜陽女学院"に受かったのだ。
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