テスト勝負
愛に親父のことを話して1週間がすぎた。あれから特に変わったことはなく。学校帰りに愛の家で勉強を教えて貰って、20時過ぎに帰る。そんな日々が過ぎていった。
「来週からテストだね。柚子も今回はいい成績残せるんじゃない?」
「愛が教えてくれたからな。今までよりも高い点が取れると思う。」
「そうだね!今日も勉強するでしょ?」
「うん。」
来週から期末テストが始まる。毎学期2回あるテストのうち後半のテスト。前回赤点が3教科もあった。今回はなくなるといいが。
愛が進学する高校は平均85は取らないと行けないらしい。奨学金制度を受けるとなると、だいたい平均90は、いるんじゃないか?そう考え、今日から愛の家だけでなく、夜遅くまで自室でも勉強することにした。
テストが始まった。周りがピリピリしているのが分かる。俺は出来る、そう思いながら解いた。手応えはあった。解けない問題の方が少なかった。
「どうだった?解けた?」
「うん!解けたよ。愛に教えて貰えて良かった。」
「何点かなぁ。早く返ってくるといいね。」
「そうだな。」
「そうだ!勝負しない?」
「今更かよ。しかも俺の勝ち目なくね?」
「うぅ、今更なのはごめん。でも、ハンデ!ハンデあげるから!」
「わかった。ハンデって?」
「私は1教科減らすから。」
「どの教科?」
「数学を減らそうかな。」
「得意科目だろ。抜いていいのか?」
「大丈夫だよ!…で、勝負の話だけど、負けた方が勝った方になんでもするって言うのでいい?」
「まぁ、そこはお約束みたいなもんだからな。いいよ。」
「じゃあ、楽しみにしとくね。」
結果を言うと、俺の点数は今までにないほど良かった。いや、今までにこんな点数とったことがなかった。平均86点、よくここまで学力が上がったもんだと自分でもびっくりした。
これは、もしかして勝った?でも愛は元々頭がいい。だとしてもさすがに勝てないのでは無いか、こっちは9教科で774点。愛は8教科だから、減点が26点を超えた瞬間俺の勝ちが確定する。ほぼ無理だろ。
勝った。お願いなんにしようかな。そう考えながら一緒に帰るため愛を待つ。愛は、ニコニコしながら俺のところに向かってきた。嫌な予感がした。
「柚子!何点?」
「774点。」
「え!高いじゃん!すごい!」
この反応は、勝ったのか?
「愛は?数学抜いてだけどね?」
「8教科で800点。」
「……は?」
は?何を言ってるんだ。無理じゃねぇか。1番得意なの抜いたとか、そんなの関係ないよもう。全部満点じゃん。これだと得意な数学はもちろん満点なんだろうな。
「は?え?全部満点とったの?」
「うん。本当はずっと前からテストの勝負のの事思いついてて、柚子が帰った後からすんごい勉強してたんだ。」
それは前からして欲しいことがあったって事?
「勝つために頑張ってたってことはして欲しいことがあるんだろ?」
「うん!今度一緒に服を買いに行きたいの。私にボーイッシュな服選んで欲しい!」
そんなことでいいのか。そんなことなら何時でも行ってあげるのにな。
「わかった。」
「やった!じゃあ、日曜日空いてる?」
「空いてるよ。」
そう言えば、土曜日にスマホを買いに行くって言う約束、色々あっていけてなかったな。
「その時にスマホも見に行こっか。」
「そうだね。忘れてたね。」
日曜日か、これはデートなのか?デートだよな。デートでいいんだよな。楽しみだな。
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