第9話 時空を賭けた大決戦

 「よしよし、あんみたちゃん落ち着いた?」


 ラムネとネムが決闘に挑もうとしている中、ロインとあんみたはお互い、励ましあっていた。


 「うん、ありがとうロインちゃん。わたしもう大丈夫だよ。」


 「そっか、なら良かった。」


 「それでね、ロインちゃん。わたし、決心したの。」

 「自身を受け入れて、2021年を取り戻してもらう。」


 あんみたは涙を拭いた後、決意に満ちた表情で宣言した。

 ロインも意見に賛成。改めて、ヒラノ・チューナの基へ二人も向かう。


_____


 「アハ、じゃあそろそろ本番の”宴”を」

 「ちょっと待ったァーーー!!!!!」


 樹箱が空けていた光と闇の隙間から、ロインとあんみたも参戦。これで全員揃った。


 「アハ、アンタも闘うワケなのね。良いですトモ。」

 「じゃあ、ユートピアを賭けてそろそろ本番に行くヨ?」


_____


 光と闇の隙間も塞がれ、いよいよもって最終決戦が始まった。


 「ちゃーりゃぁ!ヒラノねーちゃん!目を覚ませぇー!」


 「そろそろボクも夢から醒めさせてもらうよ!」


 「わたしの罪はわたしが償うわ!」


 「アハ、皆して必死なその表情、嫌いじゃないヨ。」

 「でもネ」


 そう言ってヒラノ・チューナは手を振りかざす。


 「2021年よ、あるじゃあのん!」


 「わわっ!?」


 ヒラノ・チューナが掛け声をしたあと、大きな時計が崩れ落ちてきた。


 「偽りの暦でも幸せでいたいデショ?」

 「それがアンタ達の深層心理なんだカラ。」


 「それは違う!」


 そう声を上げたのはラムネラジオ。


 「ボクは、本当の世界で本当の存在意義(レゾンデートル)を見つけるわけ!」


 それを聞いたヒラノ・チューナはふぅん?と言った表情でこう語り掛ける。


 「憧れの存在にも逢え、チヤホヤされる2014年に本当はいたいんじゃナイノ?」


 「それは違う!過去は過去、今は今って今のボクなら言い張れるわけ!」

 「だから……」


 「2021年を返せぇぇぇぇ!!!!!」


 ラムネラジオが放った光の矢は、ヒラノ・チューナにギリッギリ当たらない所をつんざいた。


 「もしかして、ボクの本体さん」

 「ボクを本気で殺す気はないデショ?」


 「ふふっ、さすがはボクのドッペル。」

 「アンタみたいな勘のいいドッペル、嫌いじゃないわけ。」


 そう言って、ラムネラジオとヒラノ・チューナはくしゃっ、と笑い合う。


_____


 「アンタら、案外いいヤツらなんじゃないノ?」


 ヒラノ・チューナは戦意を半分喪失した状態で語りかけた。

 どうやら、ラムネ達の熱心さに感心したらしい。


 「んー、そうだネェ。」


 「これをかわせたら、2021年の世界を返してアゲル。」


 そう言い、ヒラノ・チューナは三本のナイフを投げた。


_____これで何もかにも すっかりおしまい?

_____次回、最終回!

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