第3話-ラムネ編 時計塔と、旅人と、時々チクタク
「はぁ、あのボクのそっくりさんは誰だったんだろ。」
そう言いながら、ラムネは朝の準備をダラダラとしていた。
今日は一人旅の日。即ちネムに振り回されなくていい日だ。
「ま、あのガキンチョほっといて時計塔で時空でも感じながら狩りしますかー。」
そう言いながら彼女は、気だるげに家を出る。
―――――
-ルディブリアム 時の渦-
「あ〜!この薄暗い空間!良き良き!」
ラムネは、久しぶりに好きなところに行けたのがかなり嬉しかった。
のびのびとした気持ちで時計塔深部のモンスター「チクタク」たちを狩る。
「ホラホラ〜!逃げるチクタクはチクタク。逃げないチクタクは勇敢なチクタクですけど!」
そんな訳の分からないことを言いながらラムネは光の弓矢を撃ちまくる。
かなり爽快に。
そんな彼女を、一人の旅人が見ていた。
―――――
「なぁ、そこのおまい。」
そう話しかけてきたのは、薄赤のロングヘアーにサングラスの青年。
「ん?誰だお前ですけど。てか邪魔すんなし!」
そう言い、ラムネは青年に向けて光の矢を構える。
「まぁそうカリカリするなや。」
「あ、ワイは”樹箱”。樹木のジュの方に箱で樹箱や。」
樹箱、と名乗る青年は軽く自己紹介をした。
「ふーん、ボクはラムネラジオ。フルネームあるけどめんどくさいので簡略。」
「じゃあ狩りの続きやりたいんでまたね。」
「待てや!」
その場を去ろうとするラムネに対し、樹箱は一喝を入れた。
「もう!なんなワケ?」
「おまい、光の魔法使うってことはワイと同職か?」
「知らん。ボク聖魔やってる。人権欲しくて。」
「ふぅん……じゃあ違うな。ワイルミナスやっとるから。」
「まぁ、ワイは闇魔法の方が得意やけど」
「あっそ」
そう言い捨て、ラムネは帰ろうとした。
もうそろそろ帰らないと、あんみたが昼ごはんの支度をしているからだ。
「待てや!」
「また!?」
「ラムネラジオ、おまい今のメイプルワールドが”2014年”になっとるのは知っとるよな?」
ラムネは、ああ思い出したと言わんばかりに驚いた顔をしていた。
……つまり、それまで忘れてたってことである。
そんなラムネに、樹箱はこう言った
「アレはおまいの深層心理。つまりおまいの責任や。」
「まぁ、知らへんかったらしゃーないけど。いずれおまいには理解する時が来るで。」
樹箱は、何か知っているような素振りを見せて時計塔を去った。
「……はぁ?」
ラムネラジオは気づいていない。過去の自分の願いを――――
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