第4話-ラムネ編 出会いと、出会いと、カップ麺
「はー。さっきのは何だったんだろ。」
そう言いながら、ラムネラジオは塔を出る。
自分のバッグの中を見ながら、ため息をつく。
「今回の稼ぎも拾いも渋かったわけ。」
そうぼけらっとしてる時、突如番傘を持った男性が駆け寄ってくる。
「そこのお姉さん!助けてください!」
「待てですよ!おまえの髪はシズが食べるですよ!」
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ラムネはキョトンとした顔をしながら、二人を見届ける。
「酷い!食べられちゃう!最近髪薄くなってきたのに〜!」
「おまえは黙ってシズの食事に付き合えですよ!」
ラムネは仕方がないなぁ。という顔を隠しきれないまま、その傘を持った男性を匿うことにした。
「番傘おかっぱ頭。何かあったわけ?”紫の天使”に襲われてたみたいなわけだけど……本当はソッチの味方してやりたいけど。」
「すみません、助かりました……あ、僕”傘茸”って言います。」
傘茸は、最敬礼をしながら事情を話す。
「実は、僕あのお方……”夕立 雫”様の部下なのですが、あまりにも雫様からの扱いが酷くて神社から逃げてきたんです。」
「酷いとは何事ですよ!シズはおまえに居場所を作ってやったのに、恩知らずなキノコめ!」
そう口を挟むのは、雫だ。
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「シズからも事情を話すですよ。」
「シズは、いわゆる魔王で居場所のない哀れな奴らに”シズに絶対に服従してもらう”代わりに、居場所を作ってやってるですよ。」
「はい!?今の絶対に服従って話初めて聞きましたが!?」
ラムネを置いて、傘茸と雫は口論を始める。
「ちょっと待て、勝手に巻き込んで勝手に置いてくななわけ。」
「とりあえず紫の天使……雫の方が身勝手やってるのは分かったから、とりあえず今回は見逃してやれってわけ。」
「すみません、ありがとうございます。」
そう言い、ラムネは傘茸を塔の奥へと案内する。
「それと。」
「はい。」
「おまえの髪が美味しいとか訳分からないわけ。」
「ああ、それはその、僕は実はキノコ族でして、髪はキノコの傘の味がするんです。」
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キノコ族。ビクトリアアイランドに腐るほどいる雑魚種族の一部だ。
実際、キノコ族は美味しいことで有名であり、人間たちも食糧として捕獲することも多々ある。
「まぁ、そんなキノコ族な僕ですが、時間にルーズすぎて嫁に逃げられたところを雫様に助けられまして。」
「ふぅん……アンタにも非はあったわけ。」
「やれやれ……シズは寛容なので今日のところは見逃してやるですよ。」
「その代わり」
そう言い、雫はラムネのカバンを急に漁り出す。
「わわっ!?大胆なことする訳!?何するわけ!」
雫はドヤ顔で、一つの卵を持って語る。
「シズの今日のご飯のオカズはこれにしてやるですよ!」
「まぁ……それくらいならいいけど。」
「さっきのはスリとだいたい変わんないからもう二度とやらないように。」
_____
「お兄ちゃん、また暴れ回っている……。」
「ヒィが、ヒィが止めなくちゃ。」
そうコソコソと見ながらおずおずとしているのは、とても長い青い髪を持った女の子だった。
彼女と、雫と、ラムネの関係はこれ如何に_____
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