第8話 樹箱とネムの英雄事情

 「あ?俺がえいゆー?」


 「せや、早い話そういう事や。」


 「で、そーせーぐんだんってなんだ?ソーセージでも食うんか?」


 「ダメや……おまい、完全に忘れとるな。」


 樹箱は頭を抱えながら、どこから説明しよう。と悩む。


 「まずは、創世軍団についてや。これは今落ちとる悪魔にも関わりあるからよう覚えきい。」

 「創世軍団はな、一旦この世界をコキャッとやって新しい世界作りましょー。って悪の軍団や。」


 ネムは半分理解したような顔で、話を聞く。


 「え!?そんなやべー軍団にあんみたねーちゃん入ってたのか!?」


 「せや、あんみたの家は貧乏で食うにも欠く程でな。こんな世界壊れちまえー、なとこあったんや。」

 「でも、あんみたがボスの……まぁここではてるてる坊主とでも言っとくか。奴に悪魔の血を入れられて暴走した時、あんみたはうっかり家族をコキャッと殺っちゃうんや。」


 ネムは驚いていた。

 それもそうだ、あんみたの激重な過去など、彼女は知らなかったのだから。


 「うがー!許せん!てるてる坊主!!!」


 激化しているネムに対し、樹箱は引き続き冷静に話をする。

 どうやら次はネムの栄光の話らしい。


 「で、その話聞いてるだけで晩飯戻しそうになるくらいにはワルなてるてる坊主野郎を封印したのが、」


 「ドッペルラジオ」

 「黒死ころね」

 「カンナビ」

 「フランギオール」

 「そしておまい、ネムや。」


 「んあ?俺そんなにグループ組んでたんか?」


 「せや、てるてる坊主野郎は一人で敵う相手やないからな。」

 「世界から集められた英雄が集ったんや。」


_____


 「事情はわかったな?ネム」


 「まぁ、だいたい分かったぜ。」


 すると、樹箱は魔法の杖で光と闇の弾幕を作り始める。


 「それじゃあ、感覚を思い出してもらうためのスパルタ修行や。」

 「この弾幕の”光”だけ潰すんや」


 ネムははあ?という顔を隠しきれなかった。

 今まで気合と根性だけで生きていたような彼女だ、無理もない。


 「むーりーだって!あ!光の粒あっちい!潰れろ!」


 『パリン』


 『パリン』


 『パリン』


 樹箱は、驚きながらネムを見ていた。

一見ただ慌てているだけのようなネムだが、しっかりと「闇の弾幕を綺麗にかわし、光の弾幕を綺麗に潰している。」


_____


 「ネム……否、ペンネン・ネム」

 「合否を言うで」


 「うーわー聞きたくないー!俺にできる訳ねーも」

 「合格や。無意識に英雄としての血が残ってたのかもしれへんな。」


 「え?」


 ネムは、キョトンとした顔で樹箱を見る。


 「ネム、ラジオ……行ってこい!創世軍団はわいとロインで手がける!」


 「ちゃーりゃあ!わかったぜ!」

 「アハ、了解なわけ」



_____いよいよ、2021年を賭けた闘いが始まろうとする……!

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