第6話 突撃と潜入の偽り世界

 会いたかった天使に逢えたラムネ。

 夢を浄化させたネム。

 ……そして、事実を知ったあんみた。


 今、その”ヒラノ・チューナ”の手に踊らされた三人が揃っている。


_____


 「異端尋問。ヒラノ、アンタはボクのなんなワケ。」

 「樹箱ってやつから事情は聞いてるわけ。」


 ラムネは、マッドハッターに果物ナイフを突きつけながら問う。


 「じゃあ答えて差し上げヨウ。」


 「ラムネラジオ、アンタの”感情”サ。」


 ラムネは、驚きを隠せなかった。

 それもそうだ、こんな厄介な存在を生み出したのが自分。と考えると困惑しないわけが無い。、


 「フフフ、キミは昔っから懐古厨って言葉のメタファーな訳ダカラネ。」

 「お仲間も添えて夢を叶えて上げるために独立したのサ。」


 「……嬉しいか嬉しくないか、ったら正直嬉しかったけど……」

 「それは置いておいて、大迷惑なわけ。」


 「俺はスッキリしたけどな!変な夢あれから見なくて快眠快眠だし!」


 そんな呑気な二人を置いて、崩れ落ちているのはあんみただ。


 「私が……私が……」


 ずっとこの繰り返しだ。

 無理はない、あんみたは自身の手で家族を殺めたことを思い出し、絶望している最中なのだから。


_____


 「ンー、じゃア。」


 ヒラノは少し考え、こう提案する。


 「もう”2014年”に住んじゃオウ!」


 「………………。」


 あんみたの返事はない。

 あんみたは、自身の罪を死んで償う気しかないからだ。


 「ちょっと……なんか騒がしいと思ったらまたアンタ!?そしてあんみたさんに何やったの!?」


 そう怒鳴るのはロイン。

 同じシェアハウスにいるから、ここ数日あんみたが崩れ落ちているのをずっと見ていたから、ほっとけなかったのだ。


 「ンー、ボクはただ部下に事実を見せてくるように頼んだだけなんだヨネ。」


 「それがいい迷惑だ!って!言ってん!の!」


 そう言い、キレたロインはヒラノに向けて弓矢を構える。


 「話が通じないんなら、アンタ殺すよ!?」


 「待って……ロインさん……それは……」


 そうとめたのは、あんみただ。


_____


 「……ヒラノさんは、確かにやり方が荒いけど……私がやった事は事実だから……」


 「殺すなら、私を殺して。」


 あんみたは死のうとしていた。

 でも、自身で負った傷ではすぐに治ってしまう。


 だったら_____


 ずっと、そんな感情がぐるぐるぐるしていた。


 「あんみたちゃん……あんたは悪くないよ……」


 「創世軍団だっけ?のボスが悪いんだし、かんがえすぎだよ。」


_____


 「あはっ、じゃあボク、犠牲になるね。」


 唐突にぶっ飛んだ事を言い出したのはラムネだ。

 ……それもそうだ。ヒラノはラムネの”ドッペルゲンガー”に近い存在だから、”対称消滅”で自身を犠牲にすることでヒラノを討伐できる。


 しかしそれは最後の作戦だ。


 「ラムネまでどうしちゃったの……。」


 「なあロイン!俺たちで2021年に戻れる方法!探そーぜ!」


 唯一前向きなのはネム。

 言い方を変えれば、ただの馬鹿だが。


_____独善者による時空のズレと偽りの世界。どう向き合っか?

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