第14話 エヘッ! 14
「所詮この世は銭次第! イヒッ!」
面白い物? 人間、お金の話は好きだろう。お金の話にすれば面白くなるだろうか?
「私は守銭奴ではありませんよ。ただの茶店の経営者ですよ。イヒッ!」
幸い女将さんというお金が好きなキャラクターがいた。
「御用だ! 御用だ!」
岡っ引きが盗人を追いかけている。
「銭が飛ぶぜ! えい!」
銭形平次が銭を投げて盗人を捕まえる。
「ストップ!」
そこに女将さんが偶然通りかかる。
「え?」
止められて戸惑う銭形平次。
「あんた! お金は投げちゃいけないって親に習わなかったのかい?」
女将さんが銭を投げた銭形平次を怒る。
「すいません。」
反省する銭形平次。
「拾った銭は私のものだよ! イヒッ!」
守銭奴な女将さん。
「マジか!?」
銭形平次もビックリ。
「何かないのか!? 面白い話は!?」
ない。7月期の新作アニメも全滅だな。局が増えて何でもかんでもアニメ化しているから質がない。
「大食い見てる方が面白い時代。」
だからユーチューブしかないのか。
「おみっちゃんを大食いにすればいいのか?」
歌殺とは違った話になっちゃう。そもそも歌殺はアイドル・アニメ全盛期用のコンテンツだしな。
「大食いか。大食いがウケている。大食いが面白い。」
ピキーン!
その時、何かを閃いた。
「ガッキーだ。」
新垣結衣?
「餓鬼を登場させて、大食いさせていればいいんだ。アハッ!」
思わずミッキーマウス笑い。
「やはり茶店の客と絡む。客として餓鬼が遊びに来る。そして何でも食べる。」
その流れでいってみよう。
「茶店の歌姫も4だし、40万字をまとめれば10万字で1冊は出せるだろう。」
編集作業が大変だな。オチは1話5000字の20話で終えようとするから大変であり、1話を2500字で40話にすれば内容は楽である。そうしようっか。
「最初と最後に茶店とエヘ様を出して、毎回違うゲストで飽きをしのぐ。」
でも、それってアンパンマン方式そのまんまなんだよな~っと。まあいいか。
「それでいくと、全話の神龍なんかはあれでもOKなんだよね。」
1話の文字数が多いからグダグダやっているだけで。
「とりあえずプロトタイプを作ってみよう。」
1話2500字の40話編成になる。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
おみっちゃんは今日も茶店の看板娘として頑張っている。
「所詮、この世は銭次第。働け! おみっちゃん! イヒッ!」
守銭奴な女将さんにこき使われながら。
「こんにちわ。おみっちゃん。腹減った。お茶とお団子を食べさせて。」
そこにガッキーが現れる。
「ガッキ―。久しぶり。元気だった?」
おみっちゃんと餓鬼のガッキーはお友達である。
「元気だよ。最近は大食いブームだから私に出番が回ってきたよ。ユーチューブでも私は大食いで人気ものだからね。お金もガッポリだよ。アハッ!」
ガッキ―は大食いユーチューバーとして人気者で有名だった。
「いいね。銭のある子は。おみっちゃん、ガッキーみたいなお金持ちと遊びな。遊ぶお金は全額出してくれるから。イヒッ!」
損得勘定で友達を選ぶ女将さん。
「お世話になります。ペコリン。」
ガッキーに頭を下げるおみっちゃん。
「全ての世界を支配しているエヘ様が私にたかる気かよ!?」
ガッキーは呆れてモノも言えない。
「ところでガッキー。今回は何を食べることにチャレンジするの?」
おみっちゃんは尋ねてみた。
「そうだね。東京スカイツリーにしようかな? 新しいビルなら渋谷のスクランブルスクエアでもいいよ。アハッ!」
ガッキーは何でも食べることができる。捕食できる対象は生物に限らない。
「この前は富士山を流しそうめんの様に食べ、富士の樹海も一口さ。美味しかったよ。アハッ!」
ガッキ―に敵はない。
「私の歌とガッキーの胃袋とどっちが強いんでしょうね?」
ふと疑問が浮かぶ。
「ハアッ!?」
その時、ガッキーは何かを閃いた。
「もし私の食欲でおみっちゃんの歌声を食べることができたら、私が主役になれるかもしれない!」
ガッキ―の下克上構想。
「おみっちゃん! 私と勝負だ! 勝ったら私が主役だ!」
おみっちゃんに戦いを挑むガッキー。
「相手をしてあげましょう。この身の程知らずが。全ての支配者の私に敵うと思うなよ。」
ここにドリームマッチが始まる。
「1番! おみっちゃんが歌います! 曲はエヘ様! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「おみっちゃんの歌声を食べることができれば・・・・・・勝てる! ガブガブ!」
ガッキ―はおみっちゃんの歌を食べる。
「どうだ! おみっちゃんの歌を食べてやったぞ! これで私の勝ちだ! アハッ!」
自分の勝利を確信したガッキ―。
「果たして、それはどうですかね? エヘッ!」
余裕で笑うエヘ幽霊。
「なんだと!? うっ!? 苦しい!?」
突然、ガッキ―がお腹を押さえて苦しみ始めた。
「私の歌声はデスボイス。そんなものを食べて腹痛を起こさない訳がない。エヘッ!」
毒の作用もあるデスボイス。
「ああ~ん! おみっちゃんのいけず! いたたたたたたたたっ!」
腹痛に藻掻き苦しむガッキー。
「良い子のみんなは拾い食いはやめようね。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊の良い子に向けたお言葉。
「腹減った。飯を食わせろ!」
腹痛でも無限にお腹が減ってしまうガッキーの定め。
「ガッキーの無限食欲は本当に呪われているね。可哀そうに。」
同情するおみっちゃん。
「おまえが原因だろうが! いたたたたたたたたっ!」
そう。腹痛の原因はおみっちゃんの夢の歌声にあった。
「夢。」
朝起きてチャンスの再放送を見る。最近のドラマは大手事務所の都合で配役、タイトルを変えただけで内容はほぼ同じ。面白くないから見ない。なんとかプロ? 製作サイドが面白くしようと設定を無茶苦茶にするが分かりにくくて、それも面白くない。
「チャンス。」
1993年のドラマらしい。バブルで金があったのか、2021年みたいにせせこましくなく、ロケもできるし連ドラに製作費もかけれていたのだろう。尺がややこしくなくても埋まる。
「う~ん。なんだろう? 日本が豊かだったから頑張れば成功するとか、純粋でいられるとかかな。」
そうなるとドラマの内容以前にテレビに出ている俳優、女優、アイドル、歌手。夢の無い悪い奴ばっかりに見える。
「そこに夢があんのかい?」
貧しい? お金的というより悪い奴が出過ぎ? そんな奴しかでないのは日本の底辺が貧しい。そんな奴しかいなくなった日本社会? それに影響を受ける者。それに共感する者。それにお金を落として続編を作らせる者。やる気もないのに会社に居続ける奴とか。
「タイトルを変えただけで内容が同じとか、人を殺してばっかりとか、大人の事情も含めて、そこじゃない。」
もっとテーマは夢とか希望とか、冒険とか。心が熱くなるような物語にしなければいけない。
「巨人に家族が食われて、復讐で巨人を駆逐する。そこに夢があんのかい?」
「鬼に家族が食べられて、妹が鬼にされた。鬼を倒して妹を人間に戻したい。そんな程度の夢で国民的大ヒット。」
「アイドルになりたい。10代の夢を食い物にして大ヒット。二匹目のドジョウ作品ばっかり。」
目標を夢に置き換えると聞こえはいい。響きはいい。
「これを踏まえて、茶店の歌姫の構成を考え直そう。」
目標を夢に置き換えて。夢を叶える。他人の夢を踏みにじるではなく、他人の夢を助ける。一緒に夢を叶える。
「物語を普通に終わらせるは何でもできるので、そこに夢と希望を加える。」
貧しくても人間、勧善懲悪や性善説が好きなんだな。これが応援してもらえる作品のファン心理か?
「私の名前はおみっちゃん! 夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
これでワンピースやアイドルモノと同じ。
「同じ夢に向かって、エイエイオー!」
仲間。海賊団やアイドルグループ。スポーツモノだろうが、プリキュア、セーラー戦士、聖闘士も一緒。北斗の拳とかるろうに剣心はソロか?
「仲間が増えれば、その中で自分といたような奴に共感する。または主人公の強さに惹かれる。数を増やせば誰かは好きになるだろう。」
アイドル48人セット売り。握手させるキャバクラ商法。気がつけば服を脱いでいる。「アイドルなんだから。」「もう費用をかけてセットしているんだからキャンセルできない。キャンセルすれば莫大な違約金が発生する。」
これが現実であり、10代の子供が大人の事情や嫌らしさを理解してアイドルになりたいと言っているのか? 疑問である。
「う~ん。やっぱり現代ドラマは向かないな。現実の悪いことを知り過ぎている。」
きれいごとで済むアニメの方がいいのだろう。
「あなたの夢を叶えましょう。」
「おまえの夢を叶えてやる。」
「一緒にがんばろう!」
話を変えればロボットを剣で斬れれば面白いな。それをベルばら風に。それでは茶店の歌姫では無くなってしまう。もう4まで書いたし終焉か?
「私は夢を叶える人でいたい。」
それがテーマだ。もし成功すれば過去、妖怪、現代など全ての世界、全てのジャンルで通用する作品が出来上がる。まさに傑作。
「私は歌姫になる!」
「あなたの夢は?」
「私は夢のある人を応援したい!」
他の妖怪と仲間、お友達になるのであれば悪役も考えよう。
「無気力、邪気、鈍気。」
これを鬼に変えると。
「無鬼。邪鬼。毒鬼。」
何でもできますな。
「悪気は暴力、いじめ、パワハラ、セクハラを行う嫌な気である。」
それに操られていしまう者。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
おみっちゃんは茶店で夢のために看板娘をやっている。
「私の名前はおみっちゃん! 夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
夢のためにアルバイトしてお金を貯めてるエヘ幽霊。
「席、空いてますか?」
茶店は連日、大行列の大繁盛であった。
「はい! どうぞ! いらっしゃいませ! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「江戸まで遠いですね。女将さん。」
おみっちゃんは江戸に着くまで茶店で働くことにした。
「江戸に着いて歌姫になるまでしっかりと働いておくれ。イヒッ!」
女将さんは親切なふりをしているが、おみっちゃんが江戸に着くと江戸が壊滅してしまうので江戸にたどり着かないようにしている。
「すいません。」
茶店のお客が呼んでいる。
「はい! お茶とお団子のお代わりですか? 直ちに10人前持って行きますね! もちろんお代は10人前ですよ! エヘッ!」
集り商売が得意なエヘ幽霊。
「キャアアアアアアー! 助けて!」
その時、通行人が悲鳴を上げて駆けてくる。
「どうしたんですか?」
おみっちゃんは尋ねてみた。
「私の名前は餓鬼。村に化け物が出たんです! 暴れていて大変なんです!」
餓鬼村が化け物に襲われているらしい。
「それは大変だ。私が何とかしてやろう。」
意外に親切な女将さん。
「ありがとうございます!」
感謝する村人。
「おみっちゃん。助けてやりな。」
そしておみっちゃんに命令する女将さん。
「ええー!? 私ですか!? 自分で助けに行ってくださいよ!?」
抵抗するおみっちゃん。
「文句を言うなら給料を減らすよ。それでもいいのかい?」
パワハラオーナーの女将さん。
「分かりましたよ。行けばいいんでしょ! 行けば!」
おみっちゃんは渋々と村に向かった。
「まったく女将さんは人使いが荒いのに安月給しかくれないんだから。」
おみっちゃんは不満タラタラであった。
「私の名前はおみっちゃん。夢はお江戸で歌姫になることなの。おみっちゃんって呼んでね。エヘッ!」
歌姫になりたいエヘ幽霊。
「私は餓鬼。ニックネームなんかはないよ。」
ニックネームで呼ばれたことはなかった。
「餓鬼だから、ガッキーにしよう。エヘッ!」
ガッキーに名前は決まった。
「ガッキーか良い名前。まるで新垣結衣になったみたいだ。わ~い!」
大喜びのガッキー。
「ねえねえ。ガッキーの夢はなに?」
おみっちゃんは尋ねてみた。
「私の夢は女優になること・・・・・・じゃなくて、たくさん食べること。爆食女王を目指すんだ。アハッ!」
ガッキーは無限食欲体質であった。
「大丈夫。ガッキーの夢は必ず叶うよ。エヘッ!」
ガッキーを励ますエヘ幽霊。
「ありがとう。おみっちゃんも歌姫になれるといいね。」
こうしておみっちゃんとガッキーに友情が芽生えた。
「村だわ!」
おみっちゃんたちが村にたどり着いた。
「これは!?」
おみっちゃんは村に着いて目にした光景は、村が燃やされて、村人たちが倒れていた。
「ガオー!」
そこに襲撃してきた悪そうな奴らがいた。
「なんだ? おまえたちは。」
おみっちゃんは尋ねてみた。
「俺の名前は無鬼。夢と希望を失くした者のなれの姿だ。おまえたちの夢も希望も失くしてやる!」
村を襲撃したのは無鬼だった。
「酷い! 自分の夢が無くなったからって、他人の夢と希望を奪おうとするなんて! 絶対に許せない!」
怒り狂うおみっちゃん。
「いけ! 雑魚鬼ども! あいつらを倒せ!」
「ガオー!」
無鬼の命令で手下の雑魚たちがおみっちゃんたちに襲い掛かる。
「キャアアアアアア! 怖い!」
ビビるガッキー。
「ねえねえ。ガッキー。あいつらを食べれない?」
おみっちゃんは尋ねてみた。
「え? そんなことは考えたことが無かったな。美味しいのかな? ジュルジュルジュル。」
食べることを考えると涎が止まらないガッキー。
「ガオー!」
襲い掛かってくる雑魚鬼。
「いただきます!」
雑魚鬼を食べるガッキー。
「美味しい! ソースやマヨネーズをかけて食べても美味しいかも。油で揚げてからあげにしてもジューシーね。アハッ!」
美食家ガッキー曰く、雑魚鬼は美味しいらしい。
「ふざけるな!? 雑魚鬼を食う奴なんか初めて見たぞ!?」
無鬼はガッキーの食欲に恐怖した。
「すごい! ガッキー! 夢のお腹いっぱい食べたいを叶えたのね! おめでとう!」
大喜びのおみっちゃん。
「ありがとう。おみっちゃん。でも、まだまだ食べれるよ。東京スカイツリーとか、渋谷のスクランブルスクエアとか、それこそ地球を丸ごと食べてみたいな。アハッ!」
ガッキーの食欲は尽きることがなかった。
「すごい夢ね! 宇宙も丸ごと食べれそうね! エヘッ!」
悪乗りするエヘ幽霊。
「クソッ! 何が夢だ! 何が希望だ! このゲテモノ食いが!」
怒り狂う無鬼。
「こうなったら、おまえたちの夢を奪ってやる! いくぞ!」
無鬼が特攻してくる。
「キャアアアアアア! 怖い!」
ガッキーは恐怖する。
「そうはさせませんよ! 夢は誰にも奪う権利はありません!」
立ちはだかるおみっちゃん。
「止めれるものなら止めてみろ! でないとそいつの夢は消えて無くなるぞ!」
無鬼は挑発する。
「私の夢はお江戸で歌姫になることです! おまえなんかに私の夢は奪わせたりはしない! 歌は人々に勇気と元気を与えるんだ! 夢は希望なんだ! おまえなんかに私の夢は奪わせない! 私の歌を聞け!」
おみっちゃんが無鬼に歌を歌おうとする。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「ギャアアアアアアー! なんだ!? すごい音痴!? 耳が砕ける! 覚えてろよ!」
無鬼は逃げて行った。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
歌が大好きなエヘ幽霊。
「これで、この村も大丈夫だね。」
「ありがとう。おみっちゃん。」
こうして村に平和が戻った。
「さあ! 夢を叶えるために、お江戸へ、GO!」
おみっちゃんの冒険はつづく。
つづく。
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